トランプの別荘「マールアラーゴ」前に集まった支持者
有罪評決後にフロリダ州のトランプの別荘「マールアラーゴ」前に集まった支持者 MARCO BELLOーREUTERS

トランプは法廷から出るときに、その場にいた息子のエリックの体をつかむようなしぐさをした。法廷内は緊迫感に包まれていたが、不気味なほど静まり返っていた。パソコンの使用は許可されていたが、Wi-Fiがダウンしたため、傍聴席の記者たちはいち早くニュースを伝えようと躍起になっていた。

有罪を勝ち取ったブラッグはキャリアの絶頂ともいうべきこの瞬間にも表情一つ変えず前を見つめていた。

「この裁判で評決を出せたことはアメリカの司法制度の面目躍如たるものがある」と、傍聴席にいた著名な元判事のビンセント・グラッソは本誌に語った。「全ての証拠を検討した上で、これは実にまっとうな評決だと言える」

トランプは予想を裏切らず憤慨し、評決後に記者団に次のように語った。「恥ずべきことだ。腐敗して矛盾した判事による不正な裁判だ。不正な裁判だ。不名誉だ。彼らは裁判地の変更を認めなかった。この地区のこのエリアで、私たち(の支持率)は5%か6%だった。真の評決は11月5日(大統領選の投票日)にアメリカ国民が下すだろう」

結局のところ、検察が語ったストーリーは首尾一貫していて説得力があった。2016年の大統領選の直前、トランプは当選に向けた違法な策略として、コーエンを通じて不倫相手の元ポルノ女優ストーミー・ダニエルズに口止め料を渡し、業務記録を改ざんして支払いを隠蔽した。

検察は、17年にトランプからコーエンに支払われた42万ドルは立て替えた口止め料を弁済するスキームの一環であり、帳簿上の「弁護士費用」ではないことを示す膨大な「証拠の山」を提示した。

トランプの弁護団はこれらの証拠について説得力のある説明に苦労し、弁護士費用であることを示す書類も提示しなかった。

最終弁論でジョシュア・スタイングラス地方検事補は次のように述べた。「この者たちがつくり上げたこのスキームは、トランプの大統領当選を後押しした可能性が高い。有権者を欺くためのこの行為が、実際に選挙に影響を与えたかどうかを知るすべはないが、私たちがそれを証明する必要はない」

「トランプの陰謀」が成功

とはいえ、16年のトランプ勝利の衝撃、20年の大統領選への攻撃、そして24年のカムバックが演出している無敵のオーラを考えてみれば、16年10月にダニエルズのスキャンダルが発覚していたら何かが変わったはずだという見方には疑問を感じる。

しかし、検察が示した時系列を改めて見ると、16年の選挙をめぐるトランプの犯罪的な共謀のインパクトは、現在の私たちが感じるよりはるかに大きかっただろう。裁判ではさらに、共和党の予備選でもトランプ陣営の陰謀が成功した経緯が語られた。

16年にトランプの支持率を
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