かつて将来を嘱望されるほどに優れた化学者だったウォルターは、高純度のメタンフェタミンを開発し、裏社会で大評判となって巨額の利益を手にすることができた。

しかしその過程で、善人だったウォルターはいつの間にか悪に染まり、大勢を殺し、大切な友人や家族を失い、さまざまなトラブルに直面する。

......ここまではテレビ版『ブレイキング・バッド』の概要だ。

麻薬製造や密売などリアルな裏社会と暴力を、テレビドラマでこれほど克明に描けるのかとまずは驚く。日本のテレビドラマではあり得ない。ネットワーク(NBC、CBS、ABC、FOXなど無料地上波)」ではなく、表現の自由度が高い「ケーブル局」だからこそ実現できたのだろう。

ドラマ終了後のジェシーの数日を描く『エルカミーノ』は、テレビ版の俳優たちがカメオ的に出演しながら、テレビ版と同じく意表を突く展開と演出で2時間全く飽きさせない。テーマはジェシーの救済だ。

脚本と監督を担当するビンス・ギリガンがとにかくすごい。ジェシーが忍び込んだトッド・アルキストの家に2人の偽警官がやって来るプロットなどどうやったら思い付けるのだろう。

ちなみに『ブレイキング・バッド』のスピンオフドラマでギリガンが制作総指揮の『ベター・コール・ソウル』もめちゃくちゃ面白い。

絶賛してしまう自分に複雑な思い