<ゼレンスキーはロシア語で語り掛け、真偽不明のウクライナの物語はロシア国内でも効果を上げている。プロパガンダ戦でも劣勢に立たされるロシアが最後に頼るのは、ベラルーシ式のアプローチか>

戦争が始まって半月余り。ロシアは戦場でもプロパガンダを駆使した情報戦でも劣勢に立たされている。

軍事的な抵抗も民衆の反対も徐々に引いていくだろうと、ウラジーミル・プーチン大統領は考えていたのかもしれない。しかし、その希望は消えつつある。

ウクライナはソーシャルメディアを通じて歴史的な物語を広め、国内の結束を強化するとともに、戦争の価値について意見が分かれるロシア人に不満を植え付けている。

ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は首都キエフから、臨場感あふれる動画を次々に発信。ロシア軍が侵攻しても自分と閣僚はとどまると主張している。

冷静に、自身の母語であるロシア語でロシア国民に語り掛け、平和を訴える。ウクライナがロシア語話者を弾圧しているというプーチンの大仰な主張を考えれば、これは重要な振る舞いだ。

対照的に、プーチンの演説は今のところ事前に録画されたもので、人々に「あなた」ではなく「国民」と呼び掛ける。自分の側近とさえ、途方もなく長いテーブルの端と端で話をする。普段の男らしい行動派というイメージからは程遠い。

ゼレンスキーは3月3日の記者会見で、プーチンに交渉の席に着くようロシア語で呼び掛けた。

「私と座って話をしよう。(仏大統領エマニュエル・)マクロンや(独首相オーラフ・)ショルツと会ったときのように、30メートルも離れる必要はない......私はあなたの隣人だ......かみついたりしない。私は普通の男だ......あなたは何を恐れているのか」

一方、ウクライナでは至る所で、「ロシア軍と勇敢に戦う普通の人々」という戦争神話が生まれている。

開戦直後からロシア軍機を立て続けに撃墜したというウクライナ空軍の戦闘機パイロット「キエフの幽霊」。黒海のスネーク島の守備隊はロシア軍の脅しに屈せず、艦砲射撃で全員が殉死したとたたえられた(実際は生存していた)。

こうした神話がソーシャルメディアで瞬く間に拡散されるときに、その真偽は関係ない。勇敢な指導者や部隊の物語は、ロシアへの抵抗の下にウクライナ国民を団結させる強力なツールになっている。

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「戦意高揚」に突き進めない

さらに重要なのは、ウクライナのメディアの猛攻撃が、ロシア国内でも効果を上げていることだ。

ゼレンスキーの動画やウクライナ軍の英雄たちの物語は、ロシアで月間3800万人のユーザーを数えるテレグラムなどのソーシャルメディアで、野火のごとく広まっている。

ゼレンスキーの3日の演説は、ロシアで人気のラッパー、モルゲンシュテルンがテレグラムで運営するチャンネルで30万回以上、視聴された。

ロシア当局は「キエフの幽霊」神話を攻撃
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