<元ハフポスト日本版編集長で『SDGsがひらくビジネス新時代』著者の竹下隆一郎氏にインタビュー。「SDGsの盛り上がりはSNSが一役買っている」「企業は勝つためにSDGsに取り組む必要がある」。どういうことか>

SDGsがうたう17の目標は正しいと思うけれど、なんとなく腹落ちしない。それどころか、環境保護や平等を訴える誰かを見るとなぜかイラっとする──。

そんな人は、実は意外と多いのではないだろうか。

しかし「これからのビジネスは、待ったなしでSDGsに取り組む必要がある」と、元ハフポスト日本版編集長で、現在は新しい経済コンテンツ企業PIVOTの執行役員、竹下隆一郎氏は言う。

良いモノを作れば売れる時代は終わり、「これからは理念をめぐる争いになる。その勝者になるために必要不可欠なのがSDGsへの理解」と言うが、どういうことなのか。ライターの朴順梨が聞いた。

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――竹下さんは昨年『SDGsがひらくビジネス新時代』(ちくま新書)を出版した。本を書くきっかけは?

ハフポスト日本版で何度も取り上げたSNSを総括したい気持ちがありました。また、年々SDGsが盛り上がっていきましたが、それにSNSが一役買っている。

ネットメディア編集者の視点で両者の結び付きについて本にまとめたいと思ったのです。

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竹下隆一郎(Ryuichiro Takeshita)/1979年生まれ。慶應義塾大学卒業後、朝日新聞で経済部記者、デジタルメディアの新規事業を経験。米スタンフォード大学客員研究員を経て、2016~21年にハフィントンポスト(後にハフポスト)日本版編集長。退職後、元NewsPicks編集長の佐々木紀彦氏らと共に経済コンテンツ企業PIVOTを創業 Tomohisa Tobitsuka for Newsweek Japan

――SDGsとSNSが結び付いた具体的な例を知りたい。

2016年2月、「保育園落ちた日本死ね」という匿名ブログがバズり、国会でも取り上げられました。特定の団体や政党ではなく、個人の意思が国を動かす力になった。

例えば「食料品が値上げされるというニュースを紹介するために、困っている消費者を探し出す」というように、これまでのメディアは個人をパーツとして扱っていた部分がありました。

しかし、個人の小さな声が社会を動かす力になることを実感し、個人の声に注目するようになりました。

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Tomohisa Tobitsuka for Newsweek Japan

――なぜ個人の声に注目を?

かつての日本では個人の思いは封殺され、全体のために個人が犠牲にされることがありました。

それが今では一般の人から企業のCEOまでが、SNSで思いを語っていますよね。しかもその声から新たな商品も生まれている。

例えば、女性の体の悩みを解決する「フェムテック」が注目されていますが、以前なら流通に乗せるために大量生産しないとならなかったところ、個人向けECサイトなどを使えば、小ロットで消費者に届けられるようになりました。

その良い例が生理用ナプキンの要らない吸水ショーツで、個人が販売していたことで話題になり、今では大手アパレルも参入している。「生理を快適に過ごしたい」という女性の声がネット上で可視化され、企業と消費者がキャッチボールしながらビジネスチャンスを生み出した。

「個人的なことは政治的なこと」という有名な言葉がありますが、まさに「個人的なことは経済的なこと」です。

「かつての企業には、個人の声を聞く方法がなかった」
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