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Tomohisa Tobitsuka for Newsweek Japan

――SNSにより企業が個人の声を無視できなくなった。

かつての企業は個人を無視していたというより、声を聞く方法がなかったのです。SNSには誰もが本音を書くので、何が求められているかがすぐに分かります。

――SDGsについて聞きたい。17の目標は「このとおりになったらいいよね」という理想に満ちているが、現実は追い付いていない。

本でも「SDGsの目標は校長先生の挨拶のようだ」と書きましたが、確かに日本ではきれいごととして捉えられています。

日本人は失われた30年の間に理想が現実化した経験がないので、理念や大義名分に対する反発が強くなっているからです。

しかし世界は今や、アメリカ型理念とEU型理念と中国型理念などをめぐる争いになりました。日本でも2035年から新車はEV(電気自動車)のみの販売になる方針ですが、EVシフトは環境保護を理念にするEUがリードしたがっています。

もはや理念をめぐる争いに勝たないとビジネスで負ける時代になった。これからは市場のシェアだけでなく、理念のシェアについて考える必要があります。

そう考えると、SDGsは理想主義でもきれいごとでもなく、まさにビジネスの現場と言えるでしょう。

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Tomohisa Tobitsuka for Newsweek Japan

――それでもSDGsが腹落ちしない人もいる。

お茶の間がなくなってテレビは一人一人が個別に見るようになりましたし、かつては家計を誰かが握るというステレオタイプがあったが、今は一人一人がお金を握っている。

「ルールが変わった」という説明の仕方をすると、納得してもらえることが多いです。

――SDGsをうたいながらも、売れないからと途中で投げ出す企業もある。消費者ができることは?

応援したい商品を買うとPOSシステムを通して本社に伝わりますし、多くの企業が今ではエゴサーチしているので、SNSでつぶやけば確実に届く。さらに、その商品名で検索するとグーグルトレンドに入り、多くの人の目に触れます。

買う、発信する、調べる。これが大きなパワーとなることで、投資や商品開発が進んでいくでしょう。

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Tomohisa Tobitsuka for Newsweek Japan

――最後に、SDGsをテーマに起業したい人に向けてメッセージを。

やりたいことをSNSで発言すれば、必ず人や情報が集まってきます。

私の新しい会社での肩書は「チーフSDGsエディター」ですが、これは自分で作りました。勝手に名乗って勝手に仕事を作っていけば、そこから世界は変わる。

だからまずは、きれいごとや理想をどんどん発信すればいい。仕事を自分で生み出していけるのがSDGs時代の特徴ですから。

SDGsがひらくビジネス新時代

 竹下隆一郎 著

 ちくま新書

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