<南アフリカのアパルトヘイトと戦い、ノーベル平和賞を受賞したツツ元大主教が死去した。彼が遺した崇高な思想に人類はキャッチアップできるのか>

デズモンド・ツツ元大主教が南アフリカのケープタウンで死去した。90歳だった。同国初の黒人大統領となった故ネルソン・マンデラ氏と同時代にアパルトヘイト(人種隔離)制度の撤廃に尽力したその功績を称える声が寄せられた。

ツツは少数派の白人が南アフリカを支配し、多数派の黒人を残忍に抑圧する制度の撤廃を訴え、非暴力的な抗議活動を展開し、1984年にノーベル平和賞を受賞した。

「デズモンド・ツツ元大主教の逝去は、南アフリカの偉大な世代がまたひとり、失われたことを意味する。解放された南アフリカを後世に残すために力を尽くした世代だった」と、南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領は声明で別れを惜しんだ。

「南アフリカの路上の抵抗運動から、世界中の大聖堂や礼拝所の説教壇、そして権威あるノーベル平和賞授賞式の式典まで、ツツ元大主教は宗派に関係なく、普遍的な人権の擁護者として頭角を現した」

ツツは、自由を獲得するために戦う南アフリカの黒人を率いるリーダーのひとりであり、非暴力的な運動のリーダーとしても知られていた。

アパルトヘイト崩壊後は同性愛者の権利獲得運動や、イスラエルとパレスチナの紛争、イラク戦争への反対など多くの問題について、活動家として積極的に発言した。

真実の言葉の数々

ツツは多くの名言を残しており、その英知によって後世にその名を残すだろう。

ツツの最も深遠な言葉のいくつかを紹介しよう。

「不当なことが起きているときに中立を主張することは、抑圧する側を選んだということだ。象がネズミの尻尾を踏んづけているときに、あなたが中立だと言っても、ネズミはあなたが中立だとは決して思わないだろう」(オックスフォード・リファレンスより)

「私のことを奴隷と考える人の食卓から投げられたお情けのパンくずを拾うことには興味はない。私がほしいのは、人権のフルコースだ」(1985年1月、BBCより)

「加害者には角もなければ、尻尾もない。あなたや私と同じくらい普通に見える。ヒトラーを支持した人々は悪魔ではなく、多くの場合、非常に立派な人だった」(2006年2月、BBCより)

「私は同性愛を嫌悪する神を崇拝しないだろう。それほど私はこのことについて深刻に考えている。天国が同性愛を嫌悪するなら、私は行かない。申し訳ないが、そんなところより、ほかの場所に行くほうがいい。私はこの活動に、アパルトヘイト撤廃運動並みの情熱を持っている」(2013年の国連の同性愛者の権利擁護キャンペーン開始に際しての演説。BBCより)

「強大な権力者は敗北する」
【関連記事】