「耐久性」(durability)

ビットコインを誤って知らないアドレスに送金したり秘密鍵を紛失したりするとビットコインは永遠に失われることになる。しかし、ビットコインそれ自体が破壊されることはない。

「持ち運びやすさ」(portability)

1ドルであろうと10億ドルであろう、どんな量のビットコインもPCやスマホに保管でき持ち運びできる。

「分割しやすさ」(divisibility)

1ビットコインは、小数点以下第8位(0.00000001)まで分割できる。0.00000001ビットコインは、「1サトシ」という単位で 呼ばれている。

「単一性」(uniformity)

ビットコインは違う時期と場所で生成されるが、どこでも1ビットコインは1ビットコインだ。

「限られた供給量」(limited supply)

ビットコインの供給量上限は2100万ビットコインだ。

「普及率」(acceptability)

2020年10月時点で、ビットコインは世界で1万6000のビジネスによって何らかの形で使われている。まだ発展途上ではあるが、2013年11月の約550ビジネスと比較して、2万8000%の上昇だ。

終わりに

上記に掲げたビットコインの本源的な価値を示す理論は、仮説段階のものが多いものの、本源的な価値について考えるきっかけになったのではないだろうか。

デジタル資産と伝統的な資産の価値の測り方が同じでなければならないという根拠はどこにもない。オープンソースコードなど、デジタル時代ならではの新たな手法に基づいた本源的な価値の導き方に関しては今後も研究が必要だ。また、伝統的な価値尺度では測れない無形資産をビットコインは複数持っている点も忘れてはならない。

再帰性理論が主張するように、本源的価値のあるなしは、結局、人々がそう思うかどうかにかかっているかもしれない。最近ではストック・フロー分析がようやく人々に浸透し始めているが、最終的にはどの理論がビットコインの本源的な価値を示す理論として最有力になるか注目だ。

生誕から12年。ビットコインの本源的な価値をめぐる研究は始まったばかりだ。

[筆者]

千野剛司

クラーケン・ジャパン(Kraken Japan)- 代表 慶應義塾大学卒業後、2006年東京証券取引所に入社。2008年の金融危機以降、債務不履行管理プロセスの改良プロジェクトに参画し、日本取引所グループの清算決済分野の経営企画を担当。2016年よりPwC JapanのCEO Officeにて、リーダーシップチームの戦略的な議論をサポート。2018年に暗号資産取引所「Kraken」を運営するPayward, Inc.(米国)に入社。2020年3月より現職。オックスフォード大学経営学修士(MBA)修了。

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