Takahiko Wada
[東京 7日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は6日(現地時間)、日本企業が人手不足に直面して国内投資を活発化していることについて「緩やかな物価上昇の復活に助けられ、企業のリスクテイク姿勢が目覚めつつあるように見受けられる」と述べた。米ワシントンで開催された国際通貨基金(IMF)のイベントで講演した。
しかし、経常収支の観点では、巨大な対外純資産により海外投資が国内投資よりも依然として高い収益率を維持しており、第一次所得収支の黒字が「今後何年にもわたり、日本の対外収支の持続的な柱であり続ける」との見通しを示した。
植田総裁は、1980年代から続く日本の経常黒字について、企業行動の変化から分析した。
バブル景気崩壊後のバランスシート調整が収束すると、日本企業は高水準の貯蓄を国内の工場建設などに積極的に投じるのではなく、対外直接投資に振り向けた。その理由について、植田総裁は24年に日銀が実施した調査をもとに、企業経営者が最も頻繁に指摘したのは構造的な「成長期待の低下」だったと述べた。
しかし、最近になって「構造的変化の兆候が具体的に現れ始めている」と指摘。人手不足に直面して企業が国内投資を積極化しており、設備投資は1990年代初めのピークを上回ったほか、銀行貸出の伸び率は5%以上に達しているとした。
ただ、「内需主導型の調整」が実現しているのか、その答えは「いまだに明らかにはなっていない」とした。さらなる高齢化による家計の資産取り崩し加速と、企業の設備投資の拡大などが「国内全体の貯蓄と投資のギャップを縮小させる可能性がある」ものの、日本は巨額の対外純資産を蓄積しており「海外投資が国内投資よりも依然として高い収益率を維持しているという状況も続いている」と述べた。