Andrea Shalal Leika Kihara

[ワシントン 6日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は6日、日銀は基調的なインフレ率が2%の物価安定目標付近で推移すると見込んでいるものの、一定の上振れリスクがあると認識していると述べた。

植田総裁は国際通貨基金(IMF)主催のイベントで、エネルギー関連製品の価格上昇が消費者物価に影響し始めており、物価上昇率は来年初めにかけてさらに加速する可能性があるとの見方を示した。その上で、賃金上昇率はインフレ率と整合的な水準で推移する均衡状態にあるとし、日銀の現在の目標は基調的なインフレ率を物価目標付近に安定的に定着させることだと指摘。ただ、日本では日銀の2%物価目標がまだ社会規範として定着していないとの認識を示した。

他の国の中央銀行の政策運営については、それぞれが自国経済をどう見ているかについて重要な情報を示しており、それが日本経済にも影響するため、行動や政策を注意深く見守っていると述べた。

非伝統的な金融政策手段については、日銀が導入した際に一定の効果があったとしながらも、プラス金利圏からの利下げを完全に代替するものではなかったとし、日本経済が直面するショックの深刻さ次第では、再び非伝統的な政策手段の導入を余儀なくされる可能性もあると指摘。インフレ率、もしくは基調的なインフレ率を可能な限り2%前後に維持することが重要になるが、非伝統的な政策手段を再び導入する必要が生じた場合は、市場機能への影響も含め、副作用を最小限に抑える方法を考えなければならないと語った。

米連邦準備理事会(FRB)のウォーシュ議長による「中央銀行による過度な情報発信」を巡る議論については、中銀は政策目標を市場に伝える必要性と、市場参加者のモラルハザードを招くリスクとの間で適切な均衡を保つ必要があると指摘。日本の場合はこれまで基調的なインフレ率を政策判断の重要な指標として活用してきたとした上で、基調的なインフレ率が2%に達した現在は、その水準を維持することが目標になっていると語った。

植田総裁は人工知能(AI)の可能性とリスクについても言及。AIの急速な進歩が日本経済の需要を押し上げる効果をもたらしたと述べる一方、供給面の要因も検討する必要があるとの認識を示した。また、日本は深刻な人手不足に直面しているため、AIによる労働代替が進めば恩恵を受ける可能性があるとも述べた。

金融安定の観点からは、サイバーリスクを懸念しているとし、一部の小規模な銀行や企業では、こうしたリスクへの対策が十分ではないと指摘した。

Reuters Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。