Lucia Mutikani
[ワシントン 6日 ロイター] - 米労働省労働統計局(BLS)が6日発表した10月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は前月比16万5000人増と、市場予想の6万5000人増を大幅に上回った。失業率は4.1%と、9月の4.2%から低下した。
雇用の伸びが加速し、失業率も低下したことで、労働市場が夏場の失速から持ち直している可能性が示された。米連邦準備理事会(FRB)が12月に利上げするとの見方を裏付ける内容となった。
ロイターがまとめた10月の非農業部門雇用者数の予想レンジは3万5000人増から12万5000人増と幅広かった。
9月の非農業部門雇用者数は6万人増と、従来発表の2万9000人増から上方改定された。8月は13万3000人増から18万6000人増に上方改定された。
8月と9月の雇用者数の増加幅は合計で8万4000人上方改定された。労働力人口が42万1000人増えたにもかかわらず、失業率は低下した。
今回の予想を上回る雇用統計と、歴史的な低水準にある解雇件数を合わせると、労働需給が逼迫する可能性が浮上している。エコノミストやFRB当局者はこれまで、労働市場はインフレリスクをもたらしていないとの見方を維持してきた。
ハイ・フリークエンシー・エコノミクスのチーフエコノミスト、カール・ワインバーグ氏は「経済は完全雇用の状態か、それに極めて近い状態にある」と指摘。「現在の需要の伸びが続けば、労働需要が供給を上回るリスクにFRBは重点を移すと予想する」と述べた。
10月は幅広い業種で雇用が増加した。専門・ビジネスサービスが7万人増と全体をけん引し、過去12カ月の月平均の増加幅1万5000人を大きく上回った。
医療は4万2000人増、運輸・倉庫は2万5000人増となった。
製造業は1万9000人増で、コンピューター・電子製品、機械、一次金属などで増加した。人工知能(AI)関連の設備投資拡大が背景にあるとみられる。小売業、金融、政府部門も小幅に増加した。
一方、建設業は3000人減、娯楽・宿泊業は1万3000人減だった。
雇用が増加した業種の割合は57.6%と、9月の54.2%から上昇した。
CMEのフェドウオッチによると、金融市場が織り込む12月のFRB会合での利上げ確率は約76.8%と、5日の66.9%から上昇した。
エコノミストの推計によると、生産年齢人口の増加に対応するには、毎月少なくとも4万人の雇用増が必要となる。労働力人口の縮小に伴い、プラスマイナスの分岐点となる雇用増加幅は2024年の約15万人から減少している。
変動の大きい家計調査ベースの就業者数は10月に46万3000人増加し、新たに労働市場に参入した人々を十分に吸収した。ただ、経済的な理由でパートタイム勤務をしている人は33万9000人増の484万人となった。失業者の多くは失業の長期化にも直面している。
雇用者数は大幅に増えたものの、雇用の伸びは経済成長に後れを取っている。第3・四半期の国内総生産(GDP)は、堅調な個人消費と企業による積極的なAI投資を背景に、年率3.4%増加した。
エコノミストは、新型コロナウイルスのパンデミック後に企業が過剰採用した可能性が高く、AIを業務に導入する中で必要な人員を見極められない企業もあると指摘した。エネルギー価格を押し上げた米国・イスラエルとイランの戦争に伴う不確実性も、企業が増員をためらう要因になっているという。
賃金の伸びは緩やかなペースを維持した。エコノミストは、労働需給が逼迫しておらず、労働市場がインフレの要因になっていないことを示すものだと指摘した。10月の賃金は前年同月比3.1%増と、9月の3.2%増から伸びが鈍化した。週平均労働時間は34.4時間で変わらなかった。