銀行口座に給料が振り込まれているのに、生活費を引き出せない。スマートフォンで残高を確認しようとしても、画面にはエラーメッセージが表示される。まさに悪夢だ。
しかし、そんな悪夢のような事態が現実となった。
南米パラグアイで大手デジタル銀行が経営破綻し、約300万人の顧客が預金を引き出せなくなる事態が起きた。『ロイター通信』などによると、政府と銀行の関係をめぐる疑惑も浮上。11月5日にはドナルド・トランプ大統領と協力関係にあるとされるサンティアゴ・ペニャ大統領が辞任を表明した。
問題となったのは、首都アスンシオンに本拠を置く「ウエノ・バンク」だ。スペインの通信社『エフェ』などによると、同行はスマートフォンを使った金融サービスで急成長し、顧客数は約290万人に達していた。人口約610万人のパラグアイでは、国民の半数近くに相当する規模だ。もともとは金融会社として営業していたが、2021年に大手企業グループのグルポ・バスケスが買収し、2023年末に銀行業務の認可を受けた。国内のサッカークラブやスポーツイベントのスポンサーも務め、知名度を高めていた。
経営危機が表面化したのは11月3日だ。パラグアイ中央銀行はその前日にウエノ・バンクの整理手続きを開始することを全会一致で決定したと発表した。同行の財務状況を調査した結果、自己資本の健全性を示す指標が法定最低水準の50%未満まで低下していたことが判明した。
格付け会社FIX SCRの報告書によると、中央銀行の調査では、銀行の支配株主と関係する企業への融資のうち、適切に開示されていなかった取引も確認された。その後、同行の信用格付けは「AA-py」から「Dpy」に引き下げられた。
一体、なぜこのような事態となったのか。