近所のブックオフに足を運ぶと、しばしば若いアルバイト店員にキレまくる70代くらいの男性の姿を目にする。怒りの理由は「(買取価格が)新宿店より安い」などという理不尽なものだったりするので苦笑するしかなく、しかし店員も大変だろうなあと思う。
しかも、そういう光景はいまや珍しいものではなく、厄介な客の姿はどこででも散見できる。職場の場合なら、部下の攻撃的な態度に上司が脅かされるというようなケースもあるのかもしれない。
いずれにしても、被害者ぶって文句をつけてくる人がずいぶん増えたようなのだ。
が、『被害者意識が強すぎる人たち』(榎本博明 著、祥伝社新書)の著者は、被害者“ぶる”というのはちょっとニュアンスが違うような気がすると述べている。
ケチをつけて支払い金額を安くしてもらおうとするとか、嫌いな上司を困らせるために「パワハラされた」と触れ回ったりするなら、それは被害者ぶっているといえるだろう。しかし、このところ増殖している被害者意識は、そういった作為的なものとは違うように思えてならないというのだ。
クレームをつけたり、パワハラだと訴えたりする人の多くは、自分が被害者だと本気で思っているようなのだ。けっして被害者ぶっているわけではなく、自分が被害者だと信じ込んでいる。(「はじめに」より)
だとすれば、「あいつを嫌な気分にさせてやろう」というような悪意を持って行動する人よりも、さらに厄介かもしれない。
本人は自分が理不尽な扱いを受けたと信じているようだが、その被害者意識こそが理不尽なものである場合が多いからである。だから、商業施設や職場、学校、友人同士、家族の間など、さまざまな人間関係の場を混乱させるのだ。