被害者意識を暴走させる「欲求不満」

でも、暴走するのはいったいどういう人なのだろうか?

 とくに被害者意識を抱くような場面ではないのに、ちょっとしたことで被害者意識を刺激されてしまう人に見られがちな特徴として、日頃から欲求不満を溜め込んでいるということがある。

 欲求不満なときには、つい攻撃的な気持ちになったり、攻撃的な言動を取ったりする。それは人間一般に広く見られる心理傾向である。(72ページより)

きちんと職務を果たしたにもかかわらず、上司から理不尽に叱られ、謝罪を強いられたため、荒々しくドアを閉めて部屋を出ていく部下。普段は上品でおとなしいのに、電車内で大声でしゃべる人を怒鳴り散らす紳士。理不尽な人事評価に苛立ち、帰宅してから家族に当たり散らす人。たとえば、そうした人たちが当てはまるのだろう。

「バカにされた」と思い込む心理

また、劣等コンプレックスが強ければ、それもまた大きな火種になりそうだ。

 比較意識(筆者注:つねに人と自分を比較し、「人より優位に立ちたい」と感じる意識)の強さとも重なる部分があるのだが、それは劣等コンプレックスが強く、「バカにされるんじゃないか」「軽く見られるんじゃないか」「能力が低いと思われるんじゃないか」といった不安を抱えていると、どうしても他人と自分を比較してビクビクするようなことになりがちだからだ。

 ちょっとした言動に対して、バカにされたと激昂し、相手をビックリさせたり呆れさせたりする人がいるが、それは心の中に「バカにされるんじゃないか」といった不安を抱えているからである。(108ページより)

劣等コンプレックスを抱える人が攻撃的な態度に出るのは、相手が何気なく口にした言葉すら、「バカにされた」「軽んじられた」と受け取ってしまうからだ。

たとえば、親切心から「大変そうだな。手伝おうか」と話しかけてきた同僚のことを「手際が悪いと言いたいんだろう」と勘ぐったり、帰宅したとき家族から「今日は早いのね」と言われたとき、「早く帰ってきて悪かったな」と怒鳴るような反応をしたりするわけである。

そこには「敵意帰属バイアス」が働いているのだそうだ。他者の言動を敵意に帰属させる――敵意を持っているとみなす認知傾向の歪みのことである。

もちろんこれらは、被害者意識が強すぎる人のほんの一部分にすぎない。他にもさまざまな要素が複雑に絡み合っているわけだが、そうした人と対峙する側はどんなことに気をつければよいのだろうか。

厄介な相手にどう対処すればいいのか
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