[フランクフルト 5日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のシュナーベル専務理事は5日、公的債務の増加とノンバンク金融の急拡大が、ECBのによる適切な金融政策運営を制約する恐れがあるとの見方を示した。
ECBは現在、高インフレ抑制へ利上げを進めている。ただ、債務返済コストの上昇で一部諸国、特に財政が脆弱なフランスでは財政の持続可能性が損なわれるとの懸念が広がっている。金融不安を引き起こすことへの警戒から、ECBの適切な政策運営が制約される可能性がある。
シュナーベル氏はフランクフルトでの講演で、今世紀に入って公的債務が膨張し、新たに発行された国債の多くを、高いレバレッジをかけている可能性があるヘッジファンドなどのノンバンクが保有していることが問題だと述べた。
こうした構造変化により、ECBの金利変更は従来より速く波及するようになり、市場の変動を増幅する恐れがある。その結果、担保価値が下落し、必要な証拠金が増えることで、レバレッジをかけた投資家が債券の投げ売りを迫られる可能性がある。
シュナーベル氏は「金融政策の波及機能を回復させるため、中央銀行は流動性危機が本格的な信用危機に発展するのを防ぐため、市場の安定化を余儀なくされる可能性がある」と指摘。「こうした介入は中央銀行の責務遂行を妨げ、金融政策の優位性を脅かしかねない」と述べた。
欧州は銀行規制を緩和する誘惑に抗し、むしろヘッジファンドや投資ファンド、保険会社などのノンバンクに対する規制を強化すべきだと述べた。
「ノンバンクへの規制強化は、中央銀行の資金供給制度へのアクセスを認めることを検討する根拠も強め、金融システムの安定をさらに支える可能性がある」と語った。シュナーベル氏は2027年1月にECBを退任し国際通貨基金(IMF)幹部に転身する。
一方、各国政府が債務に対して支払う実効金利は経済成長率を上回っており、財政健全化の方がより難しい課題かもしれないと指摘。こうした状況は、欧州が長らく議論してきた制度改革に取り組む必要性を一段と高めているとし、改革により潜在成長率の低下をいずれ反転させることが可能だと述べた。