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[ワシントン 4日 ロイター] - 「自分が投票用紙に載っているつもりで投票を」。トランプ米大統領は、11月3日投開票の中間選挙に向けてこう有権者に呼びかけていた。特に重要な上院選のいくつかで、候補を自ら選んだが、有権者はこれらの候補を退けた。トランプ氏の政治力の限界があらわになった。
トランプ氏は10年余りにわたり、自身の「MAGA(米国を再び偉大に)」運動を軸に共和党を作り変えてきた。自分に対する忠誠心が足りなかったり、考えが合わないと見なした共和党内の保守派を排除した。選挙で実績があり州全体に強い人脈を持つ有力者よりも、忠実な支持者や考えの近い盟友を繰り返し優遇してきた。
トランプ氏は、自分が支持を表明すれば、その候補に政治的な弱点があったとしても補えると見込んでいた。しかし結果は違った。トランプ氏が支持した候補は、サウスカロライナ、ノースカロライナ、テキサス、ミシガンの4州でいずれも敗れた。
手痛い敗北の一つといえるのがサウスカロライナ州だ。1998年以来、上院選で民主党候補が勝利しておらず、2024年の大統領選ではトランプ氏が18ポイントの差で勝利を収めた州だ。テキサス州では、混戦となった共和党予備選にトランプ氏が介入し、後押しした候補が敗北し、民主党は88年以来となる上院議席を手にした。
共和党のベテラン戦略家ダグ・ヘイ氏は「これは『トランプ・クエイク(地震)』だ」と述べた。有権者が関税とイラン戦争による物価高に不満を抱く中、「トランプ氏はこの1年、有権者ではなく自分にとって何が大切かを語り続けた」と指摘した。
開票が進む間も、トランプ氏は強気の姿勢を崩さなかった。3日夜、交流サイト(SNS)に「私は立候補していなかった。もし立候補していたら、われわれは圧勝していただろう!」と投稿した。ホワイトハウス当局者は、トランプ氏が「多くの候補者を、候補者自身よりもうまく売り込んだ」と述べた。
<介入が裏目>
一部の独立系アナリストは、上院での敗北にはとりわけトランプ氏の影響がはっきり表れていると指摘した。
アメリカン大学のトーマス・カーン教授は、トランプ氏がテキサス州の共和党予備選に介入したことで、党は安全な議席を失ったと述べた。スキャンダルを抱えるケン・パクストン州司法長官でなく、党内の一部で安全な候補と見なされていた現職のジョン・コーニン氏が指名されていれば「共和党が楽勝していただろう」という。
ノースカロライナ州も似たような状況だった。共和党の現職トム・ティリス上院議員は昨年、トランプ氏の減税・歳出法案に含まれる低所得者向け公的医療保険(メディケイド)の削減に難色を示した。するとトランプ氏は予備選で対立候補を支援すると脅した。ティリス氏は不出馬を表明した。「トランプ氏は事実上、その議席を民主党に明け渡した」とカーン氏は語る。
共和党のパット・マクロリー元ノースカロライナ州知事は、トランプ氏が党の予備選に介入したことで、各州で共和党が分裂したと指摘する。
サウスカロライナ州ではトランプ氏が地元の下院議員2人と対立し、その争いが「党を本当に分裂させた」という。トランプ氏が自分の陣営を相手に政治的資本を使ってしまった例だとマクロリー氏はみる。
「トランプ大統領の最大の強みは、労働者階級の心をつかむ力を持っていたことだが、その力を失ってしまった。国のためにも、その力を取り戻した方がよい」と語った。