日本企業のたとえ小さな取り組みでも、メディアが広く伝えれば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく――。そうした「発信と共創の場」をつくることをミッションに、ニューズウィーク日本版は2023年春、「SDGsアワード」を立ち上げました。
2026年、私たちはこの想いをさらに深化させ、ビジネスと社会貢献の融合により強くフォーカスするため、名称を新たに、ニューズウィーク日本版「サステナビリティアワード」として、第4回のプロジェクトを始動しました。
先の見えない今の時代にこそ、日本企業のたゆまぬ挑戦とサステナブルなビジネスモデルが、世界に求められています。私たちは今年も、日本企業によるサステナブルな取り組みを発信していきます。
2026年、中東情勢の緊迫を背景に、プラスチックの基礎原料となるナフサの供給不安が広がり、価格が高騰。食品や日用品の容器・包装、物流資材など、暮らしを支える幅広い製品への影響が懸念され、日本のものづくりが抱える原料調達のリスクが浮き彫りとなった。こうしたなか、廃棄プラスチックを100%原料とする包装資材とそれを可能にした技術が、ナフサの代替となり得る新たな選択肢として注目された。
廃棄プラスチックを「地上に存在する資源」と捉え、約20年かけてこの技術を磨いてきたのが、埼玉県川口市に本社を置く和光紙器株式会社だ。同社が展開する「ポリエコレンシリーズ」は、リサイクル可能な廃棄プラスチックのみを主原料とする環境配慮型の包装資材である。ナフサ供給問題を背景に関心が高まり、2026年には問い合わせが従来のおよそ5倍に増加したという。
環境配慮を「特別な選択」にしないために
開発の出発点は2007年。「将来、包装資材に何が求められるようになるか」を社内で議論し、環境への配慮が一層重要になると考え、廃棄プラスチックの再資源化に着手した。まずはテスト用真空成形設備を導入し、2009年からは鈴鹿事業所(三重県)に押出設備や真空成形機を導入。シート製造からトレー成形までの技術を蓄積していった。
当初の約5年間は需要が乏しく、再生材への品質不安に加え、コスト面の課題も大きかった。それでも材料の組み合わせや加工条件の改善を継続。2019年頃には生産効率の向上によりバージン材(新品の材料)と同等水準のコストを実現し、「ポリエコレン」としてブランド化した。
現在はPIR材、PCR材をグレード分けしてブレンドし、品質の安定させている。環境配慮だけを理由に通常品より5%以上高くならないよう工夫するなど、使い続けられる条件にこだわっている。
2022年から25年にかけては再資源化設備などを拡充し、一貫製造ラインを完成させた。約20年の積み重ねが、供給不安に直面する社会への具体的な選択肢となった。