Chris Kirkham

[ソウル/ロサンゼルス 4日 ロイター] - 韓国の消費者団体が5日、米電気自動車(EV)大手テスラの運転支援ソフトウエアの宣伝について、消費者保護当局に申し立てる予定だ。同社が韓国で販売する車両の大半では合法的に利用できないと認識しながら宣伝し、数万人の顧客に誤解を与えたとしている。

テスラは韓国で数年にわたり、購入を検討する顧客に運転支援ソフト「フルセルフドライビング(監視付き、FSD)」を売り込んできた。一括払いで904万3000ウォン(6726ドル)を受け取るケースも多かった。

テスラ・コリアのソ・ヨンドゥク代表が10月の国会証言で明らかにしたところによると、韓国で登録されたテスラ車のうちFSDを利用できるのは、米国で製造された約20%に限られる。韓国公正取引委員会(KFTC)に提出予定の申立書によると、これらの車両は、韓国が自由貿易協定に基づいて認めている米国の車両安全基準に適合している。

独占禁止行政も担う同委員会への申し立てについて報じられるのは初めて。

一方、韓国のテスラ車の大半は、同様の協定がない中国で製造されている。テスラは3年以上にわたり顧客からソフトの代金を受け取ってきたにもかかわらず、中国製車両向けFSDの認証取得手続きに着手したのはごく最近だった。

<韓国公取委が調査>

FSDを利用できない車両について、韓国で何人の顧客がFSDを契約したかは不明だ。ただ、テスラが韓国国会に提出したデータによると、同社は2023年以降、韓国で上海製の車両を17万台以上販売している。

消費者団体「消費者主権市民会議」で自動車問題を担当するチェ・ヨンスク氏は「テスラは、1日たりとも使えない高額な運転支援システムを一般の購入者に販売し、多額の収入を得た」と述べた。

テスラはコメント要請に応じなかった。公取委の当局者は、2026年に入りテスラのFSDの広告について調査を開始し、同社から書面で回答を受け取ったと述べたが、それ以上の詳細は明らかにしなかった。

韓国では近年、FSDを利用できない中国製テスラ車の販売が急増したが、同社はFSDの宣伝を続けた。テスラが国会に提出したデータによると、FSDを利用できない中国製テスラ車の韓国販売台数は23年から2025年にかけて5倍超に増加。25年に韓国で販売されたテスラの新車の99%は、FSDを合法的に利用できなかった。

イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、全てのテスラ車が近く完全無人運転車になると長年にわたり約束してきた。しかし、FSDは自動運転システムではなく、運転者が常時注意を払って監視する必要がある。

テスラは北米以外へのFSDの展開を目指している。特に欧州では、規制当局に圧力をかける活動を展開してきた。

<韓国でテスラの販売急増>

韓国の輸入統計によると、テスラは26年、BMWを抜いて韓国で最も売れる輸入車ブランドとなった。

テスラは長年、FSDを買い切り方式で販売していたが、8月に月額15万ウォン(112ドル)の定額契約に切り替えた。

申立書によると、テスラは25年、FSDを「間もなく提供」と宣伝し、韓国で撮影した実演動画を公開した。その際、販売車両のごく一部でしか利用できないことを明確に説明しなかったという。

テスラはこうした制約を認識しながら、全ての顧客にソフトを売り込み続けたと申立書は指摘している。

テスラ・コリアのソ氏は10月8日の国会公聴会で、国土交通省にFSDの試験を正式に要請していないと証言した。その2週間後、テスラは認証を申請した。

ロイターが確認した同省から議員への回答書によると、FSDは、運転者がハンドルに手を添えることを義務付ける規定など、韓国の安全規則に適合していない。同省からコメントは得られなかった。

消費者団体は、テスラ・コリアの販売促進活動が顧客を欺くものだと主張。FSDを利用できない車両向けの宣伝を一時的に差し止める命令を出すとともに、行政上の制裁金を科し、捜査当局に事件を付託するよう公取委に求めている。

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