Kenneth Li Aditya Soni
[3日 ロイター] - ニュース・情報サービスのトムソン・ロイターが3日発表した第3・四半期決算は増収となった。ただ、株価は下落した。一部の投資家は株価下落の理由について、人工知能(AI)関連支出の増加が利益に与える影響への懸念があると説明した。
トロントに本拠を置く同社は、2026年通期のオーガニック売上高の伸び率見通しを従来の約8%から8.5─9.0%に引き上げた。オーガニック売上高は為替変動の影響を除いた既存事業の売上高を示す。今回の見通し変更には、印刷出版事業を算定対象から除外した影響が含まれる。
法律情報データベース「ウエストロー」、ロイター通信、税務・会計サービス「チェックポイント」を傘下に持つ同社の第3・四半期売上高は10%増の18億3000万ドル。調整後1株利益は0.81ドルだった。
一部の投資家が支出増を懸念する中、同社株はナスダック市場で7%安の113.46ドルとなった。26年初来では14%超下落している。同期間にS&P総合500種は10%上昇した。
ヒューバー・リサーチのアナリスト、ダグ・アーサー氏はトムソン・ロイターの決算について「長期的には、2027年以降も利益率が着実に改善すると期待されてきた」と指摘。その上で、AI投資による成長機会に言及し、「同社はさらなる成長機会を見込んでおり、今は利益率改善について慎重な姿勢に転じている。賢明だが、投資家にとっては期待外れだ」と語った。
トムソン・ロイターのスティーブ・ハスカー最高経営責任者(CEO)は決算発表後のインタビューで「革新の勢いは続いている」と述べた。弁護士による準備書面や申立書の作成を支援するAIエージェントを搭載し、刷新した「コーカウンセル・リーガル」を取り上げた。
同社は世界の印刷出版事業の過半数持ち分を売却したことを受け、同事業を今回の決算から除外した。
<利益率に下押し圧力>
スコシア・キャピタルのアナリスト、マヘル・ヤギ氏は調査リポートで「決算は、ウエストローやコーカウンセルを含むトムソン・ロイター製品への需要が引き続き強いことを示している。AIを基盤とする新規参入企業によって需要が鈍化している兆候は、今のところ見られない」と指摘した。
トムソン・ロイターによると、法律、税務・会計、企業向けの3部門の合計売上高は2桁増となった。継続課金収入に加え、コーカウンセル・リーガルと「コーカウンセル・タックス・オーディット・アンド・アカウンティング」のAI機能強化が寄与した。
ロイター部門の売上高は12%増加した。生成AI関連のライセンス収入の急増が押し上げ要因となり、同部門の取引ベースの売上高は56%増の4400万ドルとなった。
法律部門では、AI関連支出、2200万ドルの退職関連費用、AIデータ・分析プラットフォーム「ノエティカ」の買収の影響が利益率を圧迫した。
経営陣は、AIエージェントを活用した製品の上位料金プランによる増収が、法律部門のAI関連支出を相殺すると見込んでいると説明した。これらの製品には、ウエストローの新たなAI支援型調査製品や、法律文書を作成できるその他の製品が含まれる。
アナリストの間では、こうした新たなAI搭載製品を長期的に成長する事業に育てられるかが問われている。
トムソン・ロイターは、投資に充てられる資金が約90億─100億ドルあると説明した。経営陣は3日、27年にAI、法律、税務・会計などの分野で複数の投資候補案件を見込んでいると述べた。具体的な買収対象は明らかにしなかった。