Takahiko Wada
[東京 2日 ロイター] - 日銀は2日に公表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)の全文で、基調的な物価上昇率の2%目標への定着を見極める上で、予想物価上昇率、企業の賃金・価格設定行動、2%物価上昇を前提とした慣習や社会規範の広がりの3点を重視するとした。その上で、ここ数年、基調物価は2%に向けて上昇するとともに、2%程度への「定着に向けた動きも少しずつ進んできた」と評価した。
日銀は10月30日の金融政策決定会合で取りまとめた展望リポートで、基調物価が2%目標と「おおむね整合的な水準となっている」として、2%目標への到達を表明した。今後は物価上振れリスクに注意しながら、2%程度での定着に向けた政策運営を行っていくが、日銀では定着には長い時間を要するとの見方が出ている。
基調物価の2%定着に向け、予想物価上昇率が2%程度でアンカーされているかが重要になる。展望リポートでは、企業では2%程度に「少しずつ収れんしている」ものの、家計では予想のばらつきが「相対的に大きい状況が続いている」とした。一方、専門家の短期の予想物価上昇率が変化しても、中長期の予想物価上昇率への影響度が低下しているとの分析を示した。
2%目標を前提とした慣習や社会規範の広がりについては、賃金交渉の場における労使双方のスタンスや法制度面の対応を点検していくことが有益だと指摘した。連合がここ数年、「5%以上」の賃上げ目標を掲げているほか、26年は賃上げを「ノルム」にするとの方針を示す一方で、経団連も26年に「賃上げのさらなる定着」との方針を打ち出しているとした。
基調物価が2%に到達する一方、金融環境は引き続き「緩和的」なため、日銀は累次の利上げの影響を見ながら利上げを続けていく方針だ。
展望リポートでは、金融環境の判断に当たって、金融政策でコントロールしうる短期金利を起点とした名目・実質金利の動きに加え、資金調達環境にかかる指標も重要な尺度だとした。
さらに、資産市場における株高・円安について「金融政策以外の要因による影響も大きい点には留意が必要」だが「全体としてみれば、企業や家計のバランスシート改善などを通じて、金融環境の緩和度合いを高める方向に作用している」と指摘した。