Ziyi Tang Selena Li

[北京/香港 30日 ロイター] - 中国の5大国有銀行の四半期決算が出そろい、純利益は前年同期比6-11%増となった。純金利マージン(NIM)の下げ止まりや資産健全性の安定が寄与し、景気減速の重圧をしのいだ。

5行はいずれも2021年または22年以降で最も高い四半期ベースの利益成長率を記録。年初から進んでいた高金利預金がより低い金利に入れ替わったことが収益を押し上げたほか、足元では金融緩和や住宅ローン金利支援策が資金調達コストの低下を通じて収益環境を支えている。

中国工商銀行 は第3・四半期の純利益が前年同期比10%増加した。中国農業銀行 は10.8%増、中国建設銀行 は9.8%増、中国交通銀行 は10.1%増だった。一方、5行の中で海外事業比率が最も高い中国銀行 は、貿易摩擦や為替変動の影響もあり、伸び率は6.4%にとどまった。

今回の決算内容からは、不動産不況の長期化によって圧迫されてきた大手行の収益力が回復しつつある状況がうかがえる。ただ、融資需要の低迷や景気減速は依然として重荷だ。

中国当局は9月に対象を絞った金融支援策を強化し、信用需要はやや改善したものの、アナリストは融資全体や住宅ローン残高の大幅な回復にはつながりにくいとみている。

建設銀行の経営陣は決算資料で「中国経済は全体として安定を維持し、イノベーションや高度化に向けて前進している」とする一方で「供給が強く需要が弱いなどの課題が残る」と分析した。

純金利マージンは工商銀行、農業銀行、中国銀行で前期比横ばい、交通銀行では小幅改善した。建設銀行は1.36%へわずかに低下した。

格付け会社フィッチ・レーティングスのディレクター、エレイン・シュー氏は「予想より早い純金利マージンの回復と信用コストの安定により、大手行は中小行より速いペースで収益性を回復できる」と指摘。中央・地方の国有企業向け融資に強みを持つことが、リスク調整後の収益性を支えていると付け加えた。

不良債権比率は全体として安定した。工商銀行、建設銀行、中国銀行は9月末時点で前期から横ばい。農業銀行は1.23%、交通銀行は1.29%へそれぞれ小幅低下した。

ただ各行は収益回復を受けて貸倒引当金を積み増しており、減損費用は増加した。ムーディーズの銀行アナリスト、ニコラス・ジュー氏は、銀行が当局の方針に沿ってテクノロジーやイノベーション関連分野への融資を拡大する中、新興産業向け融資の資産劣化リスクが今後顕在化する可能性があると警告した。

大手行の運用収益は引き続き債券売買益が支えになった。もっともANZのシニア中国アナリスト、シン・チャオポン氏は「中国の銀行の多くは債券収益に依存して利益を確保しているが、現在は債券利回りが非常に低く、その効果は長続きしない」と述べた。

国有大手行は半導体分野の新規株式公開(IPO)などを通じ、債券投資から株式投資へも運用対象を広げており、新規上場直後の株価上昇が評価益を押し上げた。

交通銀行は、半導体メモリー大手、長鑫存儲技術(CXMT)の7月の新規上場に伴う評価益の増加を主因として、1-9月期の純売買益が前年同期比22.7%増加したと説明した。

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