Yoshifumi Takemoto Makiko Yamazaki

[東京 22日 ロイター] - 一橋大理事・副学長の佐藤主光教授はロイターのインタビューで、消費税減税と防衛費増強は財源をセットで議論すべきだと語った。国債発行の増額につながる場合は、日銀が国債買い入れの再増額を迫られ、円安・インフレを悪化させる可能性があるとも指摘した。

<消費減税、2年ならやりくり可能>

佐藤教授は「飲食料品の消費税減税の期間が本当に2年間で収まるのであれば、不要な基金の取り崩しや特別会計の積立、自然増収などでなんとかやりくり可能」とみる。一方で「減税期間が2年で収まらない場合。毎年5兆円税収の穴があき、財政的に厳しい状況になる」と懸念する。

減税の安定財源に関し「消費減税の財源の議論を難しくしているのは、安全保障関連3文書の改訂に伴う防衛費増額の議論があるから」と指摘。「消費減税の穴埋め以外にも高校無償化やガソリン暫定税率撤回による歳入の穴も埋まっておらず、防衛を含めた財源の問題を、全体を俯瞰して議論する必要がある」と語った。

<サイバーの時代「戦艦大和」は不要>

高市内閣は年末までに安保3文書を改訂し、岸田政権以来GDP(国内総生産)比2%を目標に積み増してきた防衛費のさらなる拡充案をまとめる。佐藤教授は「対GDP比2%の防衛費もすでに多すぎる。米国が主張するような3.5%もの数値目標は必要ない」と指摘。「サイバーアタックなど新しい戦い方の時代に『戦艦大和』のような装備品を買おうとしていないか、冷静な議論が必要」としたうえで「国土強靭化にも資する核シェルター整備や、宅配に活用可能なドローン技術開発など、軍民両用(デュアルユース)技術の強化につながる形が望ましい」などと提言した。

<フランス、対岸の火事でない>

消費減税・給付金・防衛費などの財源案としては、所得税の見直し、金融所得課税の強化などが望ましいとの見解を示した。同時に「財源には限りがあり、防衛力強化と社会保障、どちらかを選択し、どちらかは削減する、などの議論が必要」とも述べた。

そのうえで「2年後に消費税率を元に戻すことができず、防衛費をむやみに増額し、経済成長も十分に実現しないのが最悪のシナリオ」と指摘する。

足元で円安、金利上昇が落ち着いているのは、フランス財政赤字問題に市場が注目しているのが一因だが、フランスは対岸の火事ではないとし、「日本もインフレが定着・加速して、国民が我慢の限界を超える可能性は否定できない」と語った。

新規国債の発行が増加すれば「結果的に日銀が帳尻合わせをさせられる可能性がある」とし、「日本経済が不況に陥った場合、日銀が再度金融政策を緩和方向に転換し、国債買い入れを増やす可能性はある」と予想。「安倍・黒田体制の大規模緩和スタート前と異なり、すでに日銀が巨額の国債を保有してバランスシートが膨らんでいる今、日銀が再度国債買い入れを増やす余地は少ない。円安が是正されないリスクもある」と述べた。

*インタビューは21日に実施しました。

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