Akash Sriram

[21日 ロイター] - 電気自動車(EV)大手テスラを率いるイーロン・マスク氏は、同社と宇宙開発企業スペースXの統合に「多くのメリットがある」との見方を示した。ただ、決定権はマスク氏にはなく、同氏が参加できない2つの特別委員会と、自身が「高いハードル」と呼ぶテスラの株主投票がその障害となっている。

多くのアナリストが不可避と見るこの統合には、こうしたジレンマが影を落としている。自らを「利害相反の当事者」と称するマスク氏は、両委員会はまだ条件で合意しておらず、市場が来年末までの合意成立を予想しているにもかかわらず、統合は確実ではないとの認識を示している。

フォーチュナ・インベストメンツのジャスタス・パーマー最高経営責任者(CEO)は「テスラとスペースXの合併は理にかなうと思う。両社とも人工知能(AI)と自律システムへ急速に移行しており、大規模なインフラ事業を抱えているため、極めて戦略的だ」と述べた。

アナリストらによると、AIや宇宙関連インフラへの巨額の設備投資が膨らめば、スペースXのフリーキャッシュフローは圧迫されるものの、合併企業であればテスラとサービスを共有し、共同で資金調達することで、その負担を緩和できるという。

テスラの株主で資産運用会社ディープウォーター・アセット・マネジメントのマネージングパートナー、ジーン・マンスター氏はXへの投稿で、「(統合が)これほど理にかなう最大の理由は、テスラがしていることをスペースXが必要とし、スペースXがしていることをテスラが必要としていることだ」と述べた。

<ハードルはテスラ株主投票>

マスク氏が合併を望む背景には、支配権の問題もある。同氏は複数議決権株式を通じてスペースXの議決権の約85%を保有している一方、テスラではその割合は約20%にとどまる。

REXファイナンシャルのリサーチ責任者ビル・バーミンガム氏は、合併によりマスク氏の議決権比率は約57%になると試算する。ダイアレクティックの創業者ライアン・ズラー氏は、バークレイズが例示した参考水準である、テスラ株1株に対しスペースX株0.7株の交換比率で計算すると、その割合は58%になるとみている。

マスク氏によると、テスラ側では投票された株式ではなく発行済み全株式の過半数の賛成を必要とするため、未行使の議決権は全て反対票として扱われる。アナリストらは、投票率をリスクと指摘しており、昨年の株主総会で投じられなかった、証券会社経由で保有される株式の議決権が取引成立の可能性に影響する要因になり得るとの見方を示している。

eトロのアジア太平洋地域(APAC)主席アナリスト、ジョシュ・ギルバート氏は「1人の人物が両方を統括するような取引は、ガバナンスを巡って厳しい疑問を招くだろう」との見方を示した。

21日午前の取引でテスラの株価は約3%上昇、スペースXの株価は約9%上昇した。テスラは同日の米市場引け後に第3・四半期決算を発表する。

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