[サンクトペテルブルク(ロシア) 21日 ロイター] - 米国のウィットコフ和平交渉担当特使は21日、ロシアのプーチン大統領と会談し、米国が仲介するウクライナとの和平協議の再開と、戦争終結に向けた新たな提案の検討を促した。
サンクトペテルブルクの宮殿で行われた会談は、ロシア側が善意の意思表示として、拘束していた米国人の元学校教師スティーブン・ハバード氏を解放する形で始まった。ウィットコフ氏がプーチン氏と対面で会うのは9回目。
プーチン氏は、トランプ米大統領のイラン対応を支援する意向を示した。ロシアはイランと数十年にわたる関係を持っているとし、その関係を利用してイラン核開発計画に対する米国の懸念に対処する用意があると繰り返し申し出たと指摘。米国の農家支援へ肥料の大量供給も可能だとウィットコフ氏に伝えたほか、11月に中国でトランプ氏と会談する可能性について協議したいとも述べた。ロシア大統領府は、この会談に中国の習近平国家主席も参加する可能性を示唆している。
ウィットコフ氏はプーチン氏に「きょう実現したいことの一つは、ウクライナ、ロシア、米国による3カ国協議を再開できるかどうかについて、有意義な話し合いをすることだ」と表明。「きょう解決に至らなくても、次の一歩として何ができるかを話し合い、検討するだけでも重要だと思う。世界はその結果を待っている」と語った。
米国が仲介する和平協議が最後に開かれたのは2月で、その後、米国とイスラエルがイランとの戦争を開始した。
和平合意の条件を巡るウクライナとロシアの隔たりは依然として大きいが、トランプ氏は最近、何らかの合意に達するようウクライナへの圧力を強めている。20日には、ウクライナは戦争を終わらせる時だと述べ、さもなければ「非常に悪いこと」に直面するとした。
<新たな提案>
プーチン氏は、故郷サンクトペテルブルクにある帝政時代の壮麗なコンスタンチン宮殿でウィットコフ氏を迎えた。ウクライナ東部ドネツク州の完全掌握や、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)非加盟といった戦争の主要目標について、妥協する姿勢はほとんど示していない。
会談には、ロシア政府系投資ファンドを率いるドミトリエフ大統領特別代表も同席した。双方は戦争終結後の米ロ経済協力の可能性を強調した。
ウィットコフ氏は20日、オスロでウクライナのゼレンスキー大統領、フィンランドとノルウェーの首脳、欧州と北大西洋条約機構(NATO)代表者らと協議、その翌日にンクトペテルブルク入りした。オスロでの協議は生産的で「ある程度の弾み」がついたと評価し、その内容をプーチン氏に説明すると述べた。
和平合意に向けたさまざまな案を記した文書を持参し、プーチン氏に検討してもらうと説明。トランプ氏の娘婿ジャレッド・クシュナー氏もいくつかの案を伝えたいと考えており、間もなく電話で会談に参加すると述べた。
米当局者によると、ウクライナはオスロでの協議に新たな案や提案を持ち込み、ロシアへの働きかけで足並みをそろえる上で「有意義な進展」があった。ウクライナの安全保障、戦後の経済計画、広範な欧州の安全保障体制など、「包括的な和平の枠組みの主な要素」が協議されたとという。
ゼレンスキー氏は21日のFOXニュースのインタビューで、オスロでのウィットコフ氏との協議は生産的だったとし、ロシアでの協議で前向きな成果が得られることに期待を表明、ウクライナ、米国、ロシアの首脳による協議を支持すると述べた。
<悪化する米ウクライナ関係>
米国とウクライナの関係は、トランプ氏が10月初め、米国内の価格引き下げへロシアとの軽油輸出に関する合意を発表して以降、急激に悪化している。米国向けの最初のタンカーは22日に出航する予定。
ウクライナは、一部の情報共有や軍事用衛星システム「スターシールド」の利用に支障が出ていると訴えている。ただ、ゼレンスキー氏は、20日のオスロでの会合で、これらの問題を解決することで合意したと述べた。