日本経済の成長持続性を見極める上でカギとなる2027年春闘。賃上げ率(定期昇給込み)は4%台後半と予想する向きが多いが、エコノミストの間でも微妙に温度差があることに気づく。就職氷河期を経験した「デフレ世代」が慎重姿勢になりがちな一方、若手の「インフレ世代」からはやや強気な声が聞かれる。それぞれが社会人となった時代の違いに加え、人工知能(AI)などの影響をどう見積もるかも、その温度差につながっている可能性がある。
「私はインフレ世代ですので」。20代半ばの若手エコノミスト、SMBC日興証券の宮田皓生氏はこう語る。賃上げ動向の見通しはチーム内でもやや温度差があり、上の世代ほど慎重な見方が多いと感じているという。来年の春闘に関する個人的な見立てでは、今年並みの3%台半ばのベースアップ率は維持される可能性が高く、さらに上振れする余地もあるとみる。定昇込みの賃上げ率が5%を上回るのも「十分にあり得る」とみる。
人手不足が構造的に続く中、企業は物価上昇を背景に価格転嫁を進め、名目収益を拡大させている。労働者も実質賃金の目減りに敏感になっており、賃上げ圧力はなお強いという。
一方、氷河期世代と重なるシニアやチーフクラスのエコノミストには慎重な見方が少なくない。企業が人材の確保やつなぎ止めのために賃上げせざるを得ない環境にあるという状況認識は共有しつつも、賃上げの継続はそれほど簡単ではないとの感覚もにじむ。デフレ下で社会人生活を送り、物価も賃金も上がらない時代を経験したことが影響していそうだ。
別の30代前半の民間エコノミストは「氷河期世代が悲観的になりがちなのは仕方がない面もあるのでは。エコノミストを始めてからずっと日本経済はほぼ成長していなかった。急に成長する絵を描けと言われても、難しい気もする」と話す。一方、氷河期世代の上の世代にあたる、「バブル期」を経験した現在役員クラスとなったエコノミストからは「若手よりもっと強気に感じる」こともあるという。