Simon Lewis Poppy McPherson John Geddie

[ワシントン/東京 16日 ロイター] - 米政府とミャンマー軍事政権の関係者が先週、東京で会談したことが分かった。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。両国の協議はこの1カ月で2回目。6月にも東京で協議しており、2021年のクーデター後にミャンマーと距離を置いてきた米国が、軍政との接触を増やしている実態が改めて浮き彫りになった。

ロイターはこれまで、両国が6月に東京、9月中旬にミャンマーの首都ネピドーで接触したと報道。いずれの協議も米国人を狙った特殊詐欺拠点の摘発が主要な議題となったが、米政府関係者はミャンマーのレアアース(希土類)鉱​床にも関心を示しており、より幅広い分野での対話につながる可能性がある。

10月の東京の協議で何を話し合ったのか明らかになっていない。マイ​ケル・バンス米国務次官補(情報調査担当)が軍政と⁠の接触で主導的な役割を果たしており、 関係者の1人によると、米側からは今回も同氏を含め当局者十数人が参加した。ミャンマー側の出席者については確認できなかった。

ロイターは米国務省に事実関係の確認を求めたが、今回の協議についてはコメントしなかった。一方、米国の利益に関わる問題についてミャンマー国内のあらゆる勢力と対話しているとした。ミャンマー軍政の報道担当者は、コメントの求めに応じなかった。

米・ミャンマーの協議にどう関与しているのか日本の外務省に問い合わせたところ、双方と「必要な意思疎通をしている」と電子メールで回答したものの、具体的な外交上のやり取りについてはコメントを控えた。

ネピドーで行われた9月の協議はバンス氏と軍政トップのミンアウ​ンフライン氏が会い、ミャンマーで拘束された米国人実業家アダム・カスティージョ​氏の解放が議題の1つになった。ミャンマーは、元海兵隊員でもあったカスティージョ​氏を直後に国外退去処分にした。

接触の中で米側が特に重視しているのは、特殊詐欺拠点の摘発に向けたミャンマーの協力確保だ。こうした詐欺による被害額は米国人だけでも数十億ドル規模に上るという。ただ、研究者らは多くの詐欺組織が少数民族武装勢力の支配地域で活動しており、収益の一部が軍に流れている可能性もあるとして、軍政が本気で取り締まりを進める意思があるのか疑問視している。

米当局者はミャンマーに豊富に存在する重レアアース希土類鉱床へのアクセスにも関心を示している。電気自動車(EV)や風力発電設備などに使われる重要鉱物だが、鉱床の多くは軍と交戦する少数民族武装勢力の支配地域にあり、中国が主要な輸入先となっていることから、米国の関与に反発する可能性もある。

米国は先週、軍を支援したとされるミャンマー実業家の娘に科していた制裁を解除した。国務省はこの措置について、「ミャンマー内戦に関与するあらゆる勢力との対話の重要性を強調し、米国がこれまで国益促進のために用いてきた政策手段を見直す新たなアプローチの一環だ」と説明した。

ローウィー研究所の東南アジア担当ディレクター、ハンター・マーストン氏は「トランプ政権はミャンマーを純粋に取引的な観点から見ている」と分析する。「ミャンマーが保有する重要鉱物やレアアースこそが、ワシントンが最も関心を持つ分野だろう」と話す。

日本は会談場所を提供した以外、米・ミャンマーの協議にどの程度関与しているか明らかになっていない。日本側にも軍政との対話再開を模索する動きが見られる。日本は軍事政権を承認していない。

今月初めには日本の臨時代理大使がミャンマー軍政の外相と会談した。9月には自民党の渡辺博道衆院議員率いる一団がネピドーを訪問した。ミャンマー国営紙グローバル・ニュー・ライト・オブ・ミャンマーは、渡辺氏が2国間協力の再活性化と政府開発援助(ODA)の再開に向けた環境整備と説明したと伝えている。

日本の外務省は臨時代理大使による協議について、現地の日本人保護や日系企業支援などについて協議したと説明。渡辺氏の訪問については、国会議員としての活動であり、日本政府の立場を反映したものではないとした。

渡辺氏はロイターの取材に対し、訪問の目的は両国関係正常化に向けた環境整備だが、現時点では課題が多く残っている、と話した

日本はミャンマー軍が21年にアウン・サン・スー・チー政権を倒した際に非難したものの、米国や欧州諸国のように軍政幹部や軍関連企業への制裁には踏み切らなかった。日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、ミャンマーで事業を続ける日本企業は現在約300社。20年の400社超から減少したものの、依然として多数が活動を継続している。

(Simon Lewis、John Geddie、Poppy McPherson 取材協力:竹本能文、鬼原民幸)

Reuters Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。