Andrea Shalal

[バンコク 14日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は14日、先進国などに対し、政府支出と財政赤字、債務残高の削減に向けて早急に行動するよう求めた。対応を先送りすれば、財政再建が一段と難しくなると警告した。

ロドリゴ・バルデス財政局長は、公的債務の国内総生産(GDP)比が平均で100%と、第2次世界大戦以降で最高の水準に達する見通しとなる中、国債利回りの上昇が財政への圧力を強め、各国が対応を先送りする余地を狭めているとの見方を示した。

バルデス氏は「現在が緊急であり、今こそ行動すべきだとわれわれが言うのは、基本的に状況が変化したからだ」と述べ、インフレ圧力や世界的な債務の高水準、国債利回りの上昇がもたらすリスクを挙げた。「一つのメッセージを挙げるとすれば、われわれは緊急性のトーンを引き上げたということだ」と語った。

バルデス氏は今週バンコクで開かれるIMF・世界銀行の会合を前にロイターのインタビューに応じ、「今年の財政状況は半年前の予想より悪く、1年前よりも悪い」と指摘。大半の国が現在、財政を引き締めるのではなく、支出の拡大を検討していると述べた。

<政治的な支持固めが必要>

その上で、債務水準の高い主要先進国は、借り入れコストを中期的に抑制し、他国への波及を限定するための具体的な計画について、政治的な支持を固める必要があるとした。

IMFは14日公表したブログで「各国が対応を先送りすればするほど、調整の痛みは大きくなる」と指摘。調整が遅れれば利払い負担が増し、財政の脆弱性が高まり、政策の選択肢が一段と狭まると分析した。

多くの新興市場国や発展途上国の資金調達環境はこれまで良好に推移してきたものの、それが長続きしない可能性もあるとし、これらの国々に対しても財政の脆弱性を軽減し、債務管理を強化するよう促した。

対外的な資金調達が既に厳しい状況にある低所得国については、税制の強化と支出効率の改善が必要だと指摘した。

原油価格の高騰、根強いインフレ、投資需要の拡大、人工知能(AI)による想定を上回る成長などを背景に、ここ数カ月で長期国債利回りが大幅に上昇している。主要7カ国(G7)の10年物国債利回りは平均で、2月から9月までに110ベーシスポイント(bp)超上昇し、約20年ぶりの高水準に達した。

IMFによると、政府の実効的な平均資金調達コストは、2021年の2.3%から2031年には3.7%に上昇すると見込まれる。米国では利払い費の対GDP比がコロナ禍前の2.8%から5.3%に達する見通しで、社会保障向け支出見込み額とほぼ同水準となる。

低所得国での比率はさらに高く、現在の利払い費は税収の15%超を占めており、2011─19年の平均約9%から大きく上昇している。

さらに、先進国の政府はより短い満期で借り換えを進めており、金利上昇が政府の資金調達コストに波及するスピードが速まっているという。G7とスペインでは、1年以内に満期を迎える債務の比率が現在、30%に迫っている。

インフレ率が目標を上回り、エネルギー価格も高止まりしているため、中央銀行は金利を長期間にわたり高水準に維持する必要に迫られる可能性がある。これにより景気後退時の政府の対応能力が制約される一方、国防、エネルギー安全保障、高齢化への対応に伴う支出拡大圧力は強まっている。

債務金利が予想名目成長率を上回る国も複数出てきており、これらの国にとって債務の安定化は一段と難しくなるとIMFは指摘した。

バルデス氏によると、エネルギー価格の上昇を国内価格に転嫁する動きを容認する国が増えているが、依然として多くの国がコストのかかる広範な措置によって国民を保護しようとしている。

バルデス氏は「これら全ての措置にかかる財政コストは、合計で世界のGDPの約0.5%に相当するというのがわれわれの推計だ」と述べ、こうした措置の継続は世界的な物価上昇を助長すると指摘した。

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