日本企業のたとえ小さな取り組みでも、メディアが広く伝えれば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく――。そうした「発信と共創の場」をつくることをミッションに、ニューズウィーク日本版は2023年春、「SDGsアワード」を立ち上げました。
2026年、私たちはこの想いをさらに深化させ、ビジネスと社会貢献の融合により強くフォーカスするため、名称を新たに、ニューズウィーク日本版「サステナビリティアワード」として、第4回のプロジェクトを始動しました。
先の見えない今の時代にこそ、日本企業のたゆまぬ挑戦とサステナブルなビジネスモデルが、世界に求められています。私たちは今年も、日本企業によるサステナブルな取り組みを発信していきます。
日本は世界有数の「睡眠負債大国」だとよく言われる。OECD(経済協力開発機構)による国際比較でも、日本人の睡眠時間は対象となった33カ国の中で最も短かったという。睡眠不足は心疾患やうつ病などの発症リスクを高めるとされ、厚生労働省は質・量ともに十分な睡眠を確保するよう呼びかけているが、2024年の「国民健康・栄養調査」によれば、1日の平均睡眠時間が6時間に達していない人の割合は男性で36.2%、女性で38.9%とそれぞれ4割近くに上った。
そんななか、赤ちゃんから大人まで、人生のそれぞれの段階で生まれる睡眠の問題に向き合いながら、地球にとっても社会にとっても持続可能な製品作りに取り組んでいる寝具メーカーがある。有限会社アリス・インターナショナルだ。
離島で気づいた「引き算」の大切さ
同社が赤ちゃん用枕の企画・開発を始めたのは03年のこと。赤ちゃんの頭の形や寝姿勢を心配する親たちの声に応えるためだった。その後、赤ちゃんの世話でまとまった睡眠時間を確保できない母親たちの眠りを考えた女性用枕、そして男性を含めた大人の体格や寝姿勢に合わせた寝具へと開発領域を広げてきた。
だが研究を重ねる中で、同社ではある疑問を抱くようになる。眠りの問題に取り組むのに、枕の改良を続けるだけでいいのだろうか——。
その答えは思わぬところで見つかった。ある静かな離島を訪ねた時の、代表取締役の伊藤武雄氏の体験だ。
「何もない離島で、特別な設備や寝具があったわけでもないのに、普段以上に深く休めました」と伊藤氏は言う。「良い眠りには何かを『足す』だけではなく、増えすぎた刺激を『減らす』ことも必要なのではないかということに、そこで気が付きました」