そして25年に誕生したのが、枕だけでなく睡眠環境全体を設計するブランド「SUUSTON」だ。睡眠をめぐる環境に何かを足すのではなく、眠りを妨げるものを減らし、人が休みやすいものへと戻していく「引き算」が、ブランドを支える思想となっている。
この「引き算」の考え方は、サステナビリティに対する同社の姿勢にもつながっている。
「必要な機能を見極める一方で、手入れしながら長く使える構造を追求することは、必要以上の消費や買い替えに依存しないものづくりにもつながります」と伊藤氏は言う。
例えばSUUSTONの枕は、家庭で洗えてしかも乾きやすく、使う人に合わせて枕の高さを調整できるなど、長く使い続けられることにこだわって設計されている。「使い心地が悪かったり、手入れが難しかったりして短期間で使われなくなれば、本当の意味で持続可能とは言えません」と伊藤氏は言う。
また、SUUSTONの寝具の一部に採用されている「TENCELリヨセル繊維」は、なめらかな肌触りと優れた吸放湿性という良い睡眠に必要な機能を備えているだけではない。その原料となるセルロースは、責任ある方法で管理された森林から調達した木材をもとに、溶剤や水を回収し再利用する「クローズドループ製法」を用いて製造されており、環境負荷に配慮した素材でもあるのだ。
社会を支える人の休息を支える
また同社は、東京都内の大学病院の当直室へのSUUSTONの枕の納入を通じ、医療従事者の休息環境の向上にも取り組んでいる。医療の現場では、スタッフは常に緊張を強いられている上、夜間も十分な睡眠時間を確保できるわけではない。
「限られた時間でも安心して身体を休められる環境を整えることは、医療従事者の働く環境を支える一助になると考えています」と伊藤氏は言う。「環境に無理な負担をかけない。使う人に無理をさせない。そして社会を支える人にも無理をさせ続けない——この3つを、睡眠環境づくりという事業を通して実現していくことが、私たちなりのサステナビリティです」
環境への負荷を抑えることも、使う人が心地よく長く使えることも、社会を支える人が健やかに働き続けられることも、すべては同じ地平にある。アリス・インターナショナルが目指すのは、どこかに無理を押しつけるのではなく、人と環境、社会がともに持続していけるものづくりだ。その姿勢は、持続可能な事業のあり方を模索する多くの企業にとって、1つの指針となるだろう。
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