Summer Zhen Tom Westbrook
[香港 13日 ロイター] - アジアでヘッジファンド投資が拡大している。年金基金やファミリーオフィスなどの投資家が、債券や株式の不安定な動きを受けてオルタナティブ(代替)資産に目を向けている。背景には、株式に6割、債券に4割を配分する「60/40」という投資の標準的なリスク管理戦略に疑問が生じていることがある。
ヘッジファンド・リサーチ(HFR)のデータによると、2026年第2・四半期の世界のヘッジファンド運用資産は5兆6000億ドル。四半期ベースで過去最大となる4090億ドルの伸びだった。運用成績も比較的堅調だ。HFRが算出する世界のヘッジファンド指数は年初来で7%上昇。25年は12.4%上昇した。
スイスのプライベートバンク、UBPによると、アジアで一任運用サービスを利用する顧客のうち、ヘッジファンドだけに投資するマンデート(運用委託)の比率は24年末から3倍超に増えた。アジア一任運用部門責任者、パラス・グプタ氏は「米国債などの国債は、ここ数年で分散投資の手段としての信頼性が下がった」と述べ、その結果、ポートフォリオの中でヘッジファンドが果たせる役割が広がったと説明した。
戦略アドバイザーのマーシュのグローバル最高投資責任者(CIO)、ニール・オサリバン氏によると、これまでヘッジファンドに投資していなかった一部機関投資家が、現在は約10%の配分を望んでいる。特に、市場全体との相関が低いマルチストラテジー型ファンドが人気という。
マーシュ・アジアの投資責任者、アデリン・タン氏は、ウェルスマネジャーやファミリーオフィスのほか、日本の確定給付型年金などの大口機関投資家からも関心が寄せられていると話した。
JPモルガン・プライベートバンクのアジア・オルタナティブ投資責任者、アルバート・ヤン氏は、AIへの集中リスクが意識されていると指摘し、ヘッジファンドを変動に対応するための長期的な投資先とする例が増えていると述べた。
ただ、ヘッジファンド業界の中でも運用成績や資金の流れには大きなばらつきがある。ヤン氏は、ヘッジファンドへのシフトは伝統的なポートフォリオに取って代わるものではなく、新しい戦略と耐久力を補強する意味合いがあると述べた。
機動的で、株式市場の方向性に関係なくリターンを生み出せるマルチストラテジー型、マクロ型、クオンツ型などの運用会社が、特に大きな恩恵を受けている。