※あのニュースはどんな業界に影響するのか、あの企業の株価が動いたのはなぜか……。連載「ニュースで読み解く!注目株」では、株式市場を知り尽くした執筆陣が、いま注目すべき銘柄や相場の展開を解説します。 

連日のように、企業の情報漏洩が明らかになっています。なかでも大規模な個人情報の漏洩が相次ぎ、異常事態とも言える様相を呈しています。企業を取り巻くAIやデジタルの環境変化に伴い、国を挙げたセキュリティー対策は喫緊の課題です。

こうしたことを背景として、株式市場ではサイバーセキュリティー関連株が値上がりしています。足元ではトレンドマイクロ<4704>やサイバーセキュリティークラウド<4493>、ベイカレント<6532>などが続々と新高値を更新し、堅調な値動きを見せています。

急増する情報漏洩の陰にあるAIの進化

企業へのサイバー攻撃が増えている理由のひとつは、生成AIの進化です。

これまで日本の企業は、日本語という独特の言語の壁に守られ、海外からの攻撃を受けにくい側面がありました。しかしAIの進化によって翻訳の精度が飛躍的に上がり、「壁」が取り払われてしまったことで、日本企業を狙った巧妙な攻撃が一段と増えやすくなったのです。

被害の拡大は公開データにも表れています。東京商工リサーチによると、上場企業などによる大規模な個人情報漏洩(1000万件以上)は、2025年までの14年間で合計3回でした。ところが今年は、10月初旬の時点ですでに3回発生しています。

100万件以上の漏洩も10件に達し、過去最悪のペースで増加しています。9月末から10月にかけては、「タイムズ」のパーク24<4666>、大和証券グループ本社<8601>といった大手企業の情報漏洩が相次いで報道され、事態は深刻さを増しています。

セキュリティーへの投資が不可欠に

もともと日本企業は、情報漏洩を起こした際の罰則が欧米などに比べて相対的に軽く、セキュリティー対策への投資が後回しにされがちな傾向がありました。しかし、手口が巧妙化し被害が拡大するなかで、政府もいよいよ対策に本腰を入れ始めています。

象徴的な動きとして、日本のセキュリティー政策が新たな段階へ進んでいる点が挙げられます。たとえば、昨年5月に成立した「能動的サイバー防御法」に基づき、今年10月からは新しい防衛体制がいよいよ実動段階に入ります。

これまでは攻撃を受けてから対応する「後手」の対策でしたが、今後は新たに発足した「国家サイバー統括室」が司令塔となり、サイバー攻撃の兆候をいち早く察知して、被害が出る前に対処する「先回り」の防衛へと大きく転換します。

セキュリティー事業の成長が注目される野村総研
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