世界の食料システムに対する圧力が増している。戦争、エネルギー不足、気候変動、人口増大――。だがそれは、世界が抱える課題のほんの一端に過ぎない。そうした中で、ノースカロライナ州のアラマンス・フーズのような食品メーカーは、美味しさを求める需要に対応できる規模で新製品を開発しようとイノベーションを加速させている。
それを実現する手段として重要なのが社内構造だ。異なるチームが連携し、開発の初期段階から新製品のテストを行う。「我々は、料理、食品科学、知覚科学、市場に関する知見、製品開発商品化における壁を取り払って商品を開発している」。同社の食品イノベーション担当副社長、エリック・ナカタはニューヨークで開かれた「食と農業の未来フォーラム」の会場で本誌にそう語った。
「一つの部門から別の部門へと引き継ぐ直線的な商品開発では、開発期間が長くなる。そこで我々は意図的にそれを社内に取り込み、壁を取り払った。その分野の専門家を参加させて、早い段階で厳しく検証する」
食品を供給し続けるためには、新商品の開発ペースを加速することが不可欠だが、それは全体の中の一部でしかない。食品イノベーションによって最高に美味しく、最も健康的で、最も持続可能な製品を開発することができたとしても、一度に3食分しか製造できなければ、ほとんど意味はない。
大切なのは生産規模を拡大できることだとナカタは指摘する。「原材料が足りない、単純にうまくいかない、あるいは長持ちしないといった理由で、例えば50ポンドや5000ポンドなど、自分の望む通りの規模の製造ができなければ、自分のシステムが崩れて効率的な生産ができない」
だが、原材料の調達や生産規模の拡大以上に大切なのは、「味」かもしれない。どれほど健康的で値段が手ごろで持続可能性が高い食品でも、消費者に美味しいと思ってもらえなければ、売れることはない。
「シェフが味を良くすることはできても、必ずしも生産規模の拡大にはつながらない。フードサイエンティストは安全な食品を作ることはできるが、それでも味を良くする必要がある。業務担当者にはシステムの円滑な運用の徹底が求められるが、やはり味の良さは必要だ」(ナカタ)