Andrea Shalal

[バンコク 11日 ロイター] - 各国の財務・金融当局者が今週、タイのバンコクに集まり、世界銀行と国際通貨基金(IMF)の年次総会に臨む。中東やウクライナの戦争が収束せず、エネルギー供給の混乱や金利上昇が世界経済の重荷となる中、その影響と対応が焦点となる。

年次総会は12─18日に開催される。 期間中には20カ国・地域(G20)や主要7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁会議も開かれる。イランとの戦争が8カ月目に入り、エネルギー高によるインフレや公的債務の増大が議論の中心になる見通し。

今年のG20議長国を務める米国のベッセント財務長官は欠席し、財務省高官2人を派遣する。米政府当局者によると、国内で予定があるという。ウクライナ戦争や米国による国際刑事裁判所(ICC)への制裁を巡って各国間の緊張が高まる中、ベッセント氏がIMF・世銀総会に加えてG20会合も欠席することに、各国から不満が出る可能性がある。

世界銀行のアジェイ・バンガ総裁はロイターに、イランによるホルムズ海峡封鎖後も世界経済は懸念されたほど悪化していないものの、再び下押し圧力が強まっていると指摘した。

世界の石油供給の約2割が途絶し、軽油や肥料の価格が上昇。G7は軽油と原油計1億バレルを緊急備蓄から放出することで合意した。トランプ米大統領は10日、ロシアから軽油の供給を受けることで合意したと発表し、対ロ制裁も一時的に免除する。この決定にはウクライナのゼレンスキー大統領が強く反発した。

2月28日の戦争開始以降、10億バレルを超える石油が主に民間在庫から市場に放出されたが、業界幹部によると、世界市場に供給可能な在庫は減少しており、価格上昇への市場の脆弱性が増している。

バンガ氏は、エルニーニョ現象に加え、肥料価格やエネルギーコスト、債務問題が重なることが世界経済のリスクになるとして、今後数カ月に備え「一段と慎重になる必要がある」と述べた。IMFのゲオルギエワ専務理事も年次総会を前にした講演で「冬が来る」と警告した。

IMFは2026年の世界経済成長率を3%程度とする見通しを大きく変更しないもようだが、ウクライナや、イランの攻撃を受けエネルギー輸出が大幅に減少した湾岸諸国などは下方修正が予想される。

もう一つの大きな懸念は公的債務の増大だ。世界の公的債務は第2次世界大戦後で最高水準にあり、2030年までに世界の国内総生産(GDP)の100%を超える見通し。新興国や低所得国では米金利上昇に伴う資本流出も重荷となっている。

途上国では利払い費が政府歳入の平均10%をすでに超え、より高い金利での債務借り換えを迫られている。新型コロナ禍ではG20が最貧国の債務返済猶予に動いたが、今回は同様の措置への機運は乏しい。

米シンクタンクのアトランティック・カウンシルで国際経済部門を統括するジョシュ・リプスキー氏は 、安全保障と国際金融の結び付きが一段と強まっていると指摘。地政学的危機が世界経済に急速に波及する中、政策当局は「もはや以前と同じ世界ではないことを認識しなければならない」と話す。

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