※“A picture is worth a thousand words.”――1枚の写真には千の言葉の価値がある。世界の今を鋭く捉えるドキュメンタリーから、感性を刺激する芸術的なアプローチまで。連載「Picture Power “世界を物語る”写真の力」からお届けします。  

ケニア北部からエチオピア南部にかけて約290キロにわたり広がるトゥルカナ湖。アフリカでも特に貧しく、孤立した地域に暮らす数十万人の命を支えてきたこの地で今、人々の暮らしが危機に瀕している。湖の増水と陸上の干ばつという二重の環境変化が押し寄せ、生活の基盤を揺るがしているのだ。

アフリカ・ケニアにあるトゥルカナ湖の地図
アフリカ・ケニアにあるトゥルカナ湖

過去15年間で湖の水位は最大10メートルも上昇した。地下の地殻変動に加え、降雨量の増加、エチオピア南部でのダム建設など、複数の要因が重なったためだ。

広大な土地が水中に消え、村々や学校、墓地、貴重な水源までもが湖にのみ込まれた。数万人が住む場所を追われ、魚の重要な繁殖地も損なわれた。ワニによる襲撃も深刻な問題となっている。

一方で、陸上での深刻な干ばつで家畜を失った牧畜民たちが、生き延びるため一斉に漁業へ転向した。しかし、繁殖地の破壊と漁師の急増により漁獲量は大きく減少。水と食料をめぐる対立が激化し、湖上では死者を出す銃撃戦まで起きている。

この湖で起きている変化は、住民の生存そのものを脅かしている。

Photographs by Tommy Trenchard-Panos

撮影:トミー・トレンチャード
ウガンダの首都カンパラと南アフリカのケープタウンを拠点とするイギリス人ドキュメンタリー写真家兼ライター。アフリカの政治、経済、文化、環境問題のほか、イラクの紛争などを幅広く取材し、英ガーディアン、米ニューヨーク・タイムズなどの主要紙に写真と記事を発表している

【第1043回】

picture power 写真の力
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