米半導体大手エヌビディアが出資する豪データセンター運営会社ファーマスは、市場のボラティリティーや足元の市場環境を理由に、計画していた50億ドル規模の新規株式公開(IPO)を見送り、代わりに未公開市場で資金を調達する方針を示した。

ファーマスのIPOは実現すれば豪州史上2番目の規模となるはずだったが、投資家の需要は低調だった。人工知能(AI)ブームが世界の市場を押し上げる中でも、投資家がAI関連企業を選別していることを示す警戒シグナルとなった。

ファーマスは声明で「今後は未公開市場で資金調達を進めるとともに、公開・未公開市場での代替策を検討していく」と表明。IPOの条件は事業の強さと長期的な成長見通しを適切に反映していなかったと説明した。

「このため取締役会は、IPOを進めることは当社と株主の最善の利益にかなわないと判断した」とした。

同社は当初、1株当たり11豪ドルで株式を売却する計画だった。この価格に基づく企業価値は306億ドルで、8月初めの資金調達ラウンドでの評価額105億ドルの約3倍に相当する。

ファーマスは、エヌビディアのほか、コーチュー・マネジメント、ブラックストーン、ジェーン・ストリートなどからも出資を受けている。独自のエネルギー・冷却技術を使い、モジュール式のAIファクトリーの設計・運営を手がける。

現在はメルボルンとシンガポールで、賃借するデータセンター2カ所が稼働しており、アジア太平洋地域にさらに5カ所を建設する計画だ。目論見書の草案では、5年以内にデータセンターから年間50億ドルの利益を得るとしていた。

しかし、稼働中の施設が2カ所にとどまり、AIデータセンターの建設実績もない中での評価額急上昇に、投資家は警戒感を抱いた。

[ロイター]
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