Mark Trevelyan
[ロンドン 25日 ロイター] - 2023年にロシアで拘束後、スパイ罪に問われ収監されていた米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のエバン・ゲルシコビッチ記者が、一連の経緯を詳細に記した著書で、自身の拘束がロシア連邦保安庁(FSB)による周到な「おとり捜査」によるものだったとの見解を示した。WSJが25日、著書の抜粋を報じた。
ゲルシコビッチ記者は、ロシアの軍需生産を巡り、防衛産業の拠点エカテリンブルクの工場の労働組合関係者に2回、対面で取材した。2度目にレストランで会った際、戦車の生産に関するものだとする手書きの書類を見せられ、メモを取っていると、近づいてきた覆面の男らに拘束されたという。
ゲルシコビッチ記者や編集者らは事前に取材のリスクを検討。情報提供者が書類を持ち込まないようにすることや、持ち込まれた場合にも受け取らないことを決めていた。ただ、2回目の対面取材では「書類が手に押し付けられた」とし、これらの2回の対面取材は、FSBがロシアのプーチン大統領に対し、スパイだと説得し、拘束する承認を得るためだったとの見方を示した。
プーチン氏は24年2月、米テレビのインタビューで、ゲルシコビッチ記者が機密情報を収集している最中に現行犯逮捕されたとの認識を示していた。
ゲルシコビッチ記者は懲役16年の判決を受けたが、24年8月の囚人交換で釈放された。記者やWSJ、米政府は、いずれも記者がスパイだったことを否定している。