※近年、激動の国際情勢を表現する語彙は、かつてないスピードで更新され続けています。Tech RightからCognitive Warfare、活人感、AI Slopまで――。ウェブ特集「いくつ知ってる? 世界を読み解くキーワード」では、その背景にある文脈とともに解説します。
Green Protectionism(グリーン保護主義)
気候変動対策を名目に、実質的には自国の脱炭素産業を保護する通商政策を指す。WTOやOECDの貿易分析レポートなどで繰り返し取り上げられ、経済メディアを通じて定着した。
典型例は、EUのセメント、アルミニウム、鉄鋼などの炭素集約型製品の域外からの輸入に炭素価格を課す、「炭素国境調整メカニズム(CBAM)」とされる。
EUの環境規制が他国よりも厳しい場合、企業には規制の緩やかな国へ生産拠点を移したり、そうした国からの輸入を拡大するインセンティブが働く。その結果、EU域内の温室効果ガス(GHG)排出量は減少しても、地球全体の排出量は減らない恐れがある。
CBAMは、このような「カーボンリーケージ(炭素漏出)」のリスクを低減するとともに、EU域内企業の競争力維持を目的とし、今年1月から本格適用された。
一方で、アメリカは「名称は異なっても関税に変わりはない」などと批判している。脱炭素と産業保護を組み合わせた政策は、今後の貿易摩擦の新たな火種になりつつある。
[監修]
赤平 大寿
日本貿易振興機構(ジェトロ)ニューヨーク事務所調査部ディレクター。アメリカの通商政策を中心に調査・情報発信を行う。2015~17年、ワシントンの戦略国際問題研究所(CSIS)の客員研究員。

※2026年9月22日/29日号「ニュースが分かる 国際情勢BUZZワード50」特集では、50のキーワードを一挙に解説。米中ネット社会を読み解くコラム、「次の時代」を考えるコラムも掲載しています。
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