Maria Rugamer Michael Kahn Supantha Mukherjee

[16日 ロイター] - ウクライナや中東での紛争で高性能兵器の備蓄量が乏しいことによる限界が露呈したことを受け、欧州各国軍はより低コストのミサイルや迎撃兵器の導入を模索している。

欧州東側の防衛ラインでは、ロシアによるウクライナへの日々のドローン(無人機)とミサイルの攻撃が教訓を浮き彫りにしている。すなわち、現代の紛争では補充を上回るペースで兵器が消費されてしまうということだ。

英シンクタンクの国際戦略研究所(IISS)のダグラス・バリー氏は「自国の在庫に十分な巡航ミサイルがあると思っていても、おそらくそうではないだろう」と話す。

アナリストらによると、欧州の防衛産業は長年にわたって戦時規模の生産量ではなく、高度な兵器の少量生産に力を入れてきた。その結果、各国政府は現在、米防衛大手ロッキード・マーチン 、欧州軍需大手MBDA、ドイツ防衛大手ラインメタル などの高性能兵器と並行し、より大量に配備可能な低コストのシステムを急いで探している。

軍需業界幹部らは、課題はもはやミサイルの設計ではなく、今起きているような紛争を続けるために必要な生産能力の構築にあると指摘する。

ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)のマルクス・シラー研究員は「大規模な戦争は、秘密兵器ではなく、数の勝負となる」と訴える。

防衛スタートアップ企業は、大量生産を前提とした安価なミサイルや、迎撃ミサイルの開発によって需要に応えることができると主張する。オランダは6月、ウクライナ向けに欧州スタートアップ企業デスティナスに対し、巡航ミサイル「ルタ・ブロック2」700発を総額2億5000万ユーロ(約2億8800万ドル)で発注した。一方、英国防省はケンブリッジ・エアロスペースと迎撃ミサイル「スカイハンマー」の初期契約を結んだ。

エストニア国防軍はロイターに対して「ロシアによるウクライナ侵攻後、戦場の様相が変化していることを踏まえると、低コストでありながら効果的な兵器システムを開発することが重要だ」と語った。

<戦闘での算術>

ウクライナは既に多層的な防衛体制を構築しており、ロシアが毎月のように発射している数千機もの長距離ドローン(無人機)の多くを搭載機関銃、迎撃ドローン、電子戦で撃墜。より高度な脅威に備え、より高性能な迎撃システムを温存している。

ケンブリッジ・エアロスペースのスティーブン・バレット最高経営責任者(CEO)は、ロシアが一晩で発射できるシャヘド型ドローンは最大900機程度だと述べた。米国が中東で時折実施してきたように、従来の迎撃ミサイルでこれらを撃墜しようとすれば「一晩当たり数十億ドルを要する。これはどの同盟国にとっても維持不可能な金額だ」と同氏は語った。

ミサイルを製造するエストニアの防衛新興企業フランケンバーグ・テクノロジーズのアンドレアス・バッパート最高技術責任者(CTO)は迎撃にかかるコストを現在の最大2000万ユーロから、将来のシステムでは約100万―200万ユーロへ圧縮しなければならないと説明した。

ウクライナのスタートアップ企業ファイア・ポイントは、100万ユーロ未満の弾道ミサイル迎撃システムの開発を目指していると明らかにしている。このコストは、米国製迎撃ミサイル「パトリオット」の約4分の1から約6分の1に相当する。

ロッキード・マーチンは今年、低コスト版のパトリオットを発表した。しかし、従来型のパトリオットPAC―3の半額未満とはいえ、ファイア・ポイントの目標額を上回る。さらに、2028年までは量産開始が見込まれていない。

弾道ミサイルや高性能航空機を撃墜するように設計されたパトリオットPAC―3とは異なり、新たに登場している低コストシステムの多くはドローン、巡航ミサイル、あるいは他の低レベルの脅威に対処することに主眼を置いている。軍需業界幹部やアナリストらによると、これらは高性能の防空システムに取って代わるのではなく、補完することを目的としている。

<欧州は十分製造できるのか>

新興ミサイルメーカーが生産規模の拡大を図る中、投資家らは支援の動きを強めている。ケンブリッジ・エアロスペースは8月、生産能力拡大のために3億ドルを調達した。デスティナスは計画中の新規株式公開(IPO)に先立ち、追加資金の調達を進めている。

デスティナスの創業者ミハイル・ココリッチ氏はロイターに対して「欧州にとっての課題は、技術が存在しないことではない」とし、「より大きな課題は産業能力、すなわち現在の紛争で求められる規模でシステムを生産、認定、補充する能力にある」との見解を示した。

ケンブリッジ・エアロスペースは2027年3月末までに月2500発の迎撃ミサイルの生産を目指している。一方、フランケンバーグは1日当たり最大100発、年内には1500発の生産を目標としている。

軍需業界幹部によると、生産規模の拡大は資金調達だけでなく、部品の確保、承認の取得、製造プロセスの拡充にも左右される。

ファイア・ポイントは27年半ばまでに弾道ミサイル迎撃の実証に成功することを目指している。イリーナ・テレフCEOは、本来ならば数十年間を要するプロセスを数年間に短縮することになると説明する。

フランケンバーグのクスティ・サルムCEOはロイターに対し、製造能力そのものが抑止力になり得ると指摘。「私たちが大量生産できることを敵が知れば、計算上、敵は目標を達成できないと悟るだろう」と語った。

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