英オックスフォード大学と中国の研究者らは、喫煙経験のない人でも、吐く息に含まれる一酸化炭素の濃度が高いほど、パーキンソン病の発症リスクが低い傾向にあることを突き止めた。50万人以上を対象としたこの研究は、医学誌『JAMAニューロロジー』に発表された。
この結果から研究チームは、パーキンソン病リスクの低下に関係しているのは喫煙そのものではなく、一酸化炭素である可能性があると考えた。
一酸化炭素は、高濃度では中毒を引き起こす有毒ガスだが、人体でも情報伝達を担う物質として少量が自然につくられている。たばこの煙には一酸化炭素が含まれているため、一般に喫煙者の呼気中濃度は高い。
米フロリダ大学の神経学教授マイケル・オークンによると、低濃度の一酸化炭素は、酸化ストレスや炎症、細胞の生存に影響を及ぼす可能性がある。こうした作用が、傷つきやすいドーパミン産生細胞を何らかの形で守っている可能性があるという。
今回の研究で特に注目されたのは、喫煙経験のない人でも、一酸化炭素濃度が高くなるにつれてパーキンソン病のリスクが低くなる傾向がみられたことだ。呼気中の一酸化炭素濃度が3ppm以上の人では、発症リスクが約30%低かった。
「これは一酸化炭素がパーキンソン病を予防することを証明したわけではない。しかし、今後追究すべき具体的な生物学的手がかりが得られた。しかも、一酸化炭素を利用した治療法はすでに臨床試験の段階に進みつつある」とオークンは述べる。
一方、一酸化炭素ではなく、たばこそのものに理由があると考える専門家もいる。煙を吸わない「無煙たばこ」の使用でも、パーキンソン病のリスク低下との関連が複数の研究で報告されているためだ。
2016年に『アメリカン・ジャーナル・オブ・エピデミオロジー』に発表された研究では、スウェーデン式の湿性嗅ぎたばこを使用する人でも、パーキンソン病の発症リスクが低かった。2005年の研究でも同様の傾向が報告されている。