<ファラージ党首がぶち上げた大規模減税と密航者対策の裏で、政権担当能力への疑問や資金疑惑が浮上>
[英中部バーミンガム発]次期政権をうかがう強硬右派ポピュリスト政党「リフォームUK(改革英国)」が9月3~5日、バーミンガムで年次党大会を開いた。会場を埋め尽くす熱狂的な支持者を前にナイジェル・ファラージ党首は大型減税や密航者対策を打ち出した。
英国の欧州連合(EU)離脱を主導した天才的キャンペイナー、ファラージ氏を取材するようになって10年以上が経つが、その人気はピークに達したように見える。大会の舞台裏と足元で激しい動揺に見舞われ、政権担当能力が問われている。
「北の王」と呼ばれる前マンチェスター市長のアンディ・バーナム首相の登場で、昨年35%に達したリフォームUKの政党支持率は一時20%にまで落ち込んだ。バーナム氏率いる労働党に完全に逆転され、最大8ポイントも引き離されている。
「膨張しすぎた福祉・給付金予算」を徹底的に削減
大会の目玉としてファラージ氏が掲げたのが物価高に苦しむ「働く人々」と年金生活者に向けた「数十億ポンド規模の減税パッケージ」だ。「ステルス増税」と揶揄された所得税基礎控除枠を引き上げ、低・中所得層や中小企業の税負担を劇的に軽減するとぶち上げた。
財政政策を担うロバート・ジェンリック報道官は財源として公共支出から「800億ポンド(約16兆8600億円)」を削減する計画を明らかにした。その半分以上は「膨張しすぎた福祉・給付金予算」の徹底的な削減によって賄う。
減税と福祉削減による財源捻出案は、インフレ高進期の2022年に「財源なき減税」案で英国債市場の混乱を招いた「トラスショック」の悪夢を呼び覚ます。800億ポンドの歳出削減や市場の信認を損なわずに大型減税を実行できるのか疑問符がつきまとう。