手術前に採取した血液から、大腸癌の再発や転移のリスクの高い患者を特定できるようになるかもしれない──韓国科学技術院(KAIST)、江南セブランス病院、ソウル峨山(アサン)病院の研究チームによる最新研究で、その可能性が示された。
これまでの研究では、血液中に含まれる個々のアミノ酸の濃度が主に調べられてきた。今回は少量の血清サンプルから測定した18種類のアミノ酸とその相互関係をフッ素19核磁気共鳴(NMR)分光法を用いて分析。その結果、大腸癌の進行に伴い、アミノ酸同士のネットワークが段階的に再編されることが分かった。
なかでも変化が見られたのが、バリンやロイシンといった分岐鎖アミノ酸(BCAA)だ。筋肉やエネルギー代謝で重要な役割を果たすこれらのアミノ酸が、癌が進行するにつれて減少した一方で、癌細胞がDNAの合成や急速な増殖に利用するグリシンとセリンは増加。特にグリシンは、大腸癌の進行に伴って血液中で占める相対的な割合が高くなることが判明した。
さらにアミノ酸のネットワークでは、グリシンを中心とした相互作用のパターンも確認された。これも代謝の再編が全身規模で起きていることを示すエビデンスになると研究チームはみている。
こうしたアミノ酸間の相互作用から得られた特徴を、再発もしくは転移した患者を特定するためのAI分析モデルに組み込んだ結果、大腸癌の血液検査で広く使われている腫瘍マーカー「癌胎児性抗原(CEA)」だけを用いたモデルよりも高い性能が示された。最も高かったのはCEAと個々のアミノ酸濃度、アミノ酸間の相互作用から得られた特徴を組み合わせたモデルだった。