「中華マンション」で起きる生活習慣の衝突

しかし現実問題として、日本の法律をよく理解していない人たちが、日本人の感覚では理解できないようなことをしているため、住民とのトラブルに発展しているわけである。母国の感覚を無意識に持ち込んでいるだけに、悪意も罪の意識もないのだ。

もちろんそれは中国人富裕層の多い高級タワーマンションなどに限らず、一般のマンションでも同じであるようだ。中国人所有者の増加に伴い、似たようなトラブルが増えているようである。

 たとえば、マンションの廊下は共用部です。皆が通行するのに邪魔になってはいけません。ところが彼らにとっては共用部も、使えるなら自在に使ってしまう空間です。玄関の外周りに、物置を置く、自転車を並べる(最近は日本人も大事な自転車を置く人がいますが)、靴を並べる、漬物樽を置く、買ってきた食材を積み上げる、やりたい放題です。(71ページより)

この記述を読んで、「なるほど」と思わざるを得なかった。まったく同じことが起きているわけではないにせよ、先述した近所のマンションも似たような雰囲気だからだ。

なお、高級マンションになるとさらに深刻な事態を招くこともあるらしい。

 高級マンションになると、エントランスロビー周辺には気持ちの良いラウンジが設置されているケースが多いですが、ここに友人たちを招いてパーティーを始めます。これがエントランス中に響き渡るほどの大音声。こうした行動が日本人住民にとっては耐えられない行為に映ります。(71〜72ページより)

うちの近所のそのマンションは、エントランスロビーがあるような高級タイプではないが、これもまた十分に理解できる話ではあった。声の大きさという点が共通しているからで、著者によればその理由は中国語の「四声(しせい)」という発音法の影響であるようだ。

例えば「マ」という発音は「マー」と伸ばすもの(一声)、「マア↑」(二声)と語尾が上がるもの、「マア↓、ア↑」といったん下げてから上がるもの(三声)、「マア↓」(四声)と語尾が下がるものを組み合わせるため、はっきり発音しないと違う意味になってしまうそうだ。

また、「パ」や「バ」のような発声音や濁音が多いため耳に障る音が多く、うるさく聞こえるという言語的な特性もある。

 さらに、中国人は日本では考えられない厳しい競争社会で暮らしていて、とにかく自己主張をしていかなければ、社会から置いていかれるという緊張感と恐怖心が常にあるため、大声で自分の立場を主張する習性がある、と中国社会に関して論説が多い近藤大介氏が著書『ほんとうの中国』のなかで述懐されています。(72ページより)

「郷に入っては郷に従え」だけでは解決しない
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