西側の対北朝鮮政策の基本となってきた考えを、韓国がついに手放した。
鄭東泳(チョン・ドンヨン)統一部長官は7月、北朝鮮の完全かつ即時の非核化を、外交交渉の出発点とする方針を撤回すると表明した。代わりに新たな核兵器の製造を中断し、保有量を削減し、最終的に核兵器を廃棄するという3段階で北朝鮮の核開発を抑える。朝鮮半島の非核化が長期的な目標であることに変わりはないが、今後は交渉開始の条件とはしない。
この転換は北朝鮮に対してというより、むしろアメリカへのメッセージとして意味がある。北朝鮮に「非核化の先行」を求め続けているのは、今やアメリカと日本くらいだ。
そこに大きな好機がある。ドナルド・トランプ米大統領は北朝鮮政策をまだ固めていない。第1次政権では強硬派が「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」抜きの合意を認めようとせず、2019年にハノイで開かれた2回目の米朝首脳会談は決裂した。
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記は、アメリカが「現実を受け入れ」、非核化への「ばかげた執着を捨てる」なら、トランプと会談する用意があると示唆している。中間選挙を前に外交面で実績を作りたいトランプも、既にその方向へ動き始めている兆しが見られる。
今年6月のG7首脳会議に招待国として参加した韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は、北朝鮮の核問題についてトランプと話をしたと記者団に語った。トランプは、李が提案した段階的な非核化のアプローチを検討する意向を示したという。