米国政府が国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長らを制裁対象とした問題は、日本政府の外交姿勢を根本から問い直す事態に発展している。与野党から赤根氏の支援を求める声が上がる一方、政府は現時点で目に見える対策を講じていない。なぜ、高市早苗首相は米に対し「大変残念だ」と述べるにとどめたのか。複数の政府関係者に取材すると、米との関係の中で「実利」を目指さざるを得ない日本の立場が見えてくる。
「すぐにコメントを準備する」
「日本は紛争の平和的解決や法秩序の維持に向けた国際司法機関の役割を重視し、その強化に向けて積極的に関与してきた」。茂木敏充外相は24日に開かれた外務省主催のイベントに向け、こう述べたビデオメッセージを寄せた。ICCと国際司法裁判所(ICJ)の名前を挙げ、「所長をいずれも日本人が務めていることも、こうした取組の積み重ねの表れだと言える」ともアピールした。
ただ、この間の政府の姿勢は物議を醸している。赤根氏らを制裁対象とする米の発表を受けた19日朝、外務省幹部は「ICCにとっていいことであるわけがない」と不快感を示し、すぐに政府としてのコメントを準備すると述べた。ところが、コメントが発出されたのは約6時間後。「今回の措置は大変残念だ」などとする外務報道官談話にとどまった。
高市氏が同様に「大変残念に思っている。これからも米国を含む関係国と意思疎通を継続しながら対応していく」と記者団の取材に応じたのは、その更に約3時間後だった。
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