Anton Zverev
[ロンドン 17日 ロイター] - 世界最大の暗号資産(仮想通貨)交換所バイナンスが昨年、ウクライナの資金集めキャンペーンを巡る暗号資産寄付に関する詳細をロシア当局に提供していたことが、法執行機関の文書で明らかになった。この情報はロシア人IT専門家をテロ資金供与容疑で立件するための証拠として用いられた。
バイナンスのような企業が事業を展開する国の法執行機関から顧客情報の開示を求める正当な要請を受けた際に応じるのは当然のことだが、同社は2023年、ロシアから完全に撤退したと発表していた。
過去数年間、多くのロシア国民がこうした暗号資産交換所を利用し、ロシア当局が「過激主義」または「テロリスト」と指定した運動を支援。人権活動家によると、こうした寄付を行った数十人がロシアで起訴され、有罪判決を受けている。
重大な刑事事件を扱うロシア連邦捜査委員会は昨年10月、同年9月に拘束されたIT専門家ユーリ・ベレンキー氏が、ウクライナ軍のほか、「アゾフ旅団」や「アゾフ連隊」として知られる関連団体(ロシア当局がテロ組織に指定している)に700ドル以上を送金したと主張した。
暗号資産規制に関する助言を行う法律事務所「ステラー・コンサルティング」の創設者マイク・ビストロフ氏はバイナンスについて、ロシアから撤退していたためデータ提供の義務はなく、むしろ欧州連合(EU)のデータ保護法に基づき、提供しない義務があった可能性さえあると述べた。
一方、バイナンスはこの見解に異議を唱えている。
広報担当者は電子メールで「他のグローバルな金融機関と同様、当社は適用される法律、プライバシー・規制上の要件に従い、世界中の法執行機関からの合法的な情報提供要請に協力している。それらの決定はもっぱら関連当局に委ねられている」と述べた。
ロイターが閲覧した文書はベレンキー氏の事例のみに関連する内容だった。ロイターは暗号資産を通じて寄付を行った他の人物がロシアの法執行機関による捜査の対象となっているかどうか、バイナンスが他のユーザーの確認をロシアの法執行機関に対して行ったかどうかを判断できなかった。