<シークレットサービスが入手したエアフォースワンの攻撃情報を基に、機内食搬入用コンテナに隠れて別の空軍機にこっそり乗り換えたトランプ。スパイ映画さながらの秘密作戦は大成功に終わったように思えるが、実は重大なミスを犯していた>

ふくよかな体形のアメリカ大統領がイランによる暗殺から逃れるべく、デザートに囲まれて身を隠す──。想像するとほほ笑ましい光景にも思えるが、脅威の情報そのものは深刻だった。

米シークレットサービス(大統領警護隊)は7月8日、トランプ大統領を乗せてトルコの首都アンカラを離陸する大統領専用機エアフォースワンが攻撃される可能性があるという情報を入手。トランプを機内食搬入用のコンテナに乗せて機外に運び出し、別の要人用空軍機C32Aに乗り換えさせた。

結局、攻撃はなく、C32Aのトランプも、おとりになったエアフォースワンに搭乗していた記者団やスタッフたちも、無事にトルコをたった。

トランプは過去に3度、暗殺未遂の標的になっている。特に2024年7月には、選挙演説中に銃撃を受け、右耳に銃弾が直撃した。トランプ自身は今年4月の首都ワシントンでの暗殺未遂事件の後、こう述べている──「影響力のある」大統領である自分は、「それほど影響力がない」大統領よりも狙われやすいのだ、と。

シークレットサービスとアメリカの情報機関は、大統領に対する深刻な脅威の情報を1日6~8件、年間で約3000件受け取っているとされる。その点で、今回実行した作戦は決してとっぴなものではない。

1861年、大統領就任式を目前にしたリンカーン次期大統領の警護を担っていたピンカートン探偵社は、リンカーンが首都ワシントンに入る際に暗殺する計画があるとの情報をつかんだ。この情報を受けて、リンカーンは特別列車から別の地味な列車に乗り換え、「病弱な妻と旅をする病人」に変装してワシントン入りした。

新しいところでは2000年3月、クリントン大統領(当時)もパキスタンへ向かう際、暗殺情報を受け、エアフォースワンをおとりにして別の航空機で移動した。

「唯一批判すべき点は情報漏れ」
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