80代や90代を迎えても、数十歳若い世代と変わらぬ鋭い記憶力を保ち続ける人たちがいる。長寿の秘密を探る人々にとって、彼らの存在は常に注目の的だ。いわゆる「スーパーエイジャー(超高齢でも並外れた認知機能を持つ人々)」は、単にアルツハイマー病のリスクが極めて低い「遺伝の当たりくじ」を引いただけなのか、それとも卓越した頭脳の裏には別の理由があるのか。最新の研究が、この問いに迫った。

シカゴ大学の健康加齢・アルツハイマー病研究ケア(HAARC)センターとトランスレーショナル・ゲノミクス研究所の研究チームは、スーパーエイジャーと同年代で認知機能が平均的な対照群を比較したところ、遺伝的なアルツハイマー病リスク因子に明確な違いは見られないことを突き止めた。

学術誌『アルツハイマーズ・リサーチ・アンド・セラピー』に掲載された研究論文は、高齢になっても並外れた記憶力を保てるかどうかは、単に病気のリスク遺伝子を持っていないというだけではなく、別の要因が働いていることを示唆している。

一般内科医でポッドキャスト「TEDヘルス」のホストも務めるショシャナ・アンガーライダー医師によると、調査対象となったのは80歳以上の成人231人。そのうち142人がスーパーエイジャーで、89人は同年代として標準的な記憶力を持つ対照群だ。スーパーエイジャーは「エピソード記憶のテストで、認知機能に問題のない50〜60代と同等以上の成績を収めた80歳以上の人」と定義されている。

研究チームは、アルツハイマー病リスクと密接に関わるAPOE遺伝子に加え、複数の遺伝子変異を組み合わせた3種類の多遺伝子リスクスコアを調べた。結果は両グループでほぼ同じだった。「病気に関連するAPOE遺伝子の変異が見られる割合もほぼ同等で、遺伝子スコアからスーパーエイジャーかどうかを予測することは不可能だった」とアンガーライダーは説明する。

研究チームは遺伝的な祖先背景も調べ、アルツハイマー病を防ぐとされる希少な遺伝子変異も探したが、ここでも両グループ間に明確な違いは見られなかった。

遺伝子だけがすべてではない
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