<「ウクライナが戦争を始めた」「ゼレンスキーはコカイン中毒者」とまで主張してきた筋金入りのMAGA派女性ローラ・ルーマーが、ウクライナ訪問を機にそのスタンスを一変させた。この劇的な転向を、共和党MAGA派で進む分裂の文脈から考える>
ウクライナに突然、力強い味方が登場したようだ。ローラ・ルーマー。MAGA派の有名なアメリカ人女性で、Xのフォロワーは約200万人。ドナルド・トランプ大統領と最も親しいインフルエンサーの1人と言われている。同時に、極右の陰謀論者と批判されてきた人物でもある。
今まではロシアを擁護し、「ウクライナが戦争を始めた」「ナチス集団」「ゼレンスキーはコカイン中毒者」などと叫んできた。
そんな彼女が7月後半に突然ウクライナを訪問、前線に近い地域を視察し、しかも大統領公邸でウォロディミル・ゼレンスキー大統領と面会した。そして「私はロシアに騙されていた!」「ウクライナにパトリオットミサイルを与えるべき」などと主張し始めて、人々をびっくりさせた。
この転向は、1年ほど前から続く共和党のMAGA派の分裂の文脈で見ると理解しやすいだろう。一体アメリカで何が起きているのだろうか。
なぜ彼女は全米で有名になったのか
彼女がこれほど注目されるのは、トランプ大統領との近さがあってのこと。
実際トランプは自身のソーシャルメディア上で、彼女とゼレンスキーとの面会を「素晴らしい!!!」と称賛した。
もともと彼女を一躍全国的に有名にしたのは、2025年、国家安全保障局(NSA)のティモシー・ハウ長官を辞任に追い込んだ件だ。
米紙『ニューヨーク・タイムズ』によれば、ルーマーは前日に大統領執務室を訪問して、ハウ長官を「不忠実」として解任を求めた。
長官だけではなく、副長官や安保関連のスタッフも数人解雇された。ルーマーは大統領に「ディープステート」を体現する「民主党のスパイ」「裏切り者」であると自分が考えている安全保障顧問のリストを提示したという。マイケル・ウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当)も役職を追われたが、それも「人選を誤った」としてルーマーが公然と非難した後のことだったとCNNは伝えている。