技能不足説に反論も
マーチ・アンド・マーチは6月30日を不法移民退去の期限と宣言し、それまでの数カ月にわたって反移民デモや自警団による攻撃が続いた。これにより、多くの移民が退避を余儀なくされた。
マーチ・アンド・マーチは、高い失業率をはじめとする南アフリカの経済問題の責任は移民にあると主張する。しかし、多くの研究者はその見方に賛成していない。マーチ・アンド・マーチは、雇用主がより低い賃金で働く外国人を好んで雇用していると批判している。
一方で工場経営者らは、自社の従業員の大半は南アフリカ人だと説明する。その上で、衣料産業で豊富な経験を持つ隣国エスワティニやレソト出身の熟練労働者も一部必要だと訴えている。
ニューカッスルで工場を経営するアレックス・リウ氏は「こうした技能を持つ人材を地元の労働者ですぐに置き換えることはできない」と語った。別の工場主であるロンフア・ヤン氏は、6月に約40人の外国人労働者を失ったため、地元従業員7人を対象とした研修プログラムを開始したが、資金面の制約からさらに多くの人材を訓練する余裕はないと明かした。
衣料・繊維業界の労働組合は、ニューカッスルの約1万5000人の繊維労働者のうち15%が抗議活動の間に離職したと推計している。
ただ、同組合のシヤボンガ・ントンベラ代表は、技能不足という意見に反論する。「南アフリカには十分な数の熟練ミシン工がいる」と主張し、求人が埋まらないのは賃金が低過ぎるためだと指摘。また外国人労働者の中には工場敷地内に居住している人もいるのに対し、南アフリカ人労働者にとっては通勤費も大きな負担になっていると説明した。
労働市場を研究するシフェレレ・ンギディ氏は、南アフリカ人を製造業に呼び戻すためには、政府による産業再生策が必要だとの見方を示す。その上で「問題は賃金だけではない。労働環境や将来的にキャリアアップできる可能性も重要だ」と指摘した。