本研究によると、高タンパク質の食事は、体が成長を優先する方向に働き、健康的な老化や病気への抵抗力を支えると考えられている一部の細胞機能を抑える可能性がある。マウスを使った実験では、総カロリーが同じであっても、タンパク質を抑えた個体のほうが代謝が良く、長生きすることが確認された。
さらに研究者らは、総タンパク質量だけでなく、アミノ酸の種類にも着目している。特に影響が大きいとされるのが、メチオニン、イソロイシン、バリンの3つだ。メチオニンは肉、魚、卵、乳製品に多く含まれ、分岐鎖アミノ酸(BCAA)と呼ばれるイソロイシンとバリンは、肉類や乳製品のほか、プロテインサプリメントなどに広く含まれている。大豆やレンズ豆、ナッツ類などの植物性食品にも含まれるが、その割合は食品によって異なる。
本研究が根拠としたデータの多くは動物実験によるものだが、著者らは近年の複数のヒト臨床試験にも言及し、低タンパク質食が体重、体脂肪、空腹時血糖などの指標を改善する可能性を示している。
ただし研究者らは、この結果が「タンパク質は有害だ」という意味ではなく、健康な成人が直ちに摂取量を減らすべきだと示すものでもないと注意を促している。
実際、論文が示す重要な論点の1つは、高タンパク質の摂取が状況によっては有益だという点だ。多くの研究は、タンパク質を多く含む食事が、高齢者の筋肉量維持や体重管理に役立つことを示している。
こうした一見矛盾するような結果こそが、栄養学の複雑さを物語っている。日頃から運動をして筋肉をつけたい人と、ほとんど体を動かさない人では、必要なタンパク質量は異なる。また、加齢とともに筋肉は落ちやすくなるため、年齢も重要な要素だ。
今回の研究は、タンパク質は「多ければ多いほどよい」と一律に考えるのではなく、より個別化した栄養指針が必要だと指摘している。
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