<政府の余裕資金は底を突きつつある状況下では、真の優先事項に集中して財源を投じる覚悟が必要だ>

[ロンドン発]バーナム英政権の発足について、シンクタンク、インスティテュート・フォー・ガバメントのサム・フリードマン上級研究員は自らのブログ(7月21日付)で「アンディ・バーナム新首相は明確な優先事項とそれを実現するための強い権力論を持つ」と論じている。

それによると、バーナム氏はマンチェスターに地方分権を専門に担う拠点を開設、実務経験豊富な人材を充て分権を推進する。官邸内に強力な経済ユニットを構築して従来の財務省主導による各省庁との個別交渉を改め、官邸主導で戦略的な予算配分と評価を行う体制を目指している。

バーナム氏は官邸前からの第一声で「路上生活者の撲滅」を掲げ、生活費対策として「電気代の付加価値税(VAT)即時撤廃」やバス運賃の値下げを打ち出した。受け身の姿勢に終始して自滅したキア・スターマー前首相と違い、バーナム氏は政治的感度が高く、世論の支持を獲得する術に長けている。

政府の余裕資金は底を突きつつある

しかし真の課題は厳しい財政の現実に収斂する。英紙ガーディアン(7月21日付)は「バーナム氏は誓約した歳出の財源をどこに見出すのか」と題し「公的債務の高止まり、拡大する歳出圧力、市場の警戒感の中で、財源の裏付けを求める視線は厳しさを増す」と指摘している。

バーナム氏は財政規律の順守と働く人への増税回避という公約の維持を表明。しかしシンクタンク、レゾリューション・ファンデーションによると、春季予算の発表時に236億ポンドあった財政余地は100億ポンドに縮小しており、手元の余裕資金は底を突きつつあるのが実情だ。

閣僚人事の目玉となったジョン・ヒーリー財務相起用は国防費増額の強いシグナルと市場に受け止められた。しかしスターマー前政権が示した150億ポンド増額案のうち未確定の47億ポンドの財源を今後5年間で特定する必要がある。省庁間の調整は難航が予想される。

真の優先事項に集中して、財源を投じる覚悟が必要
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